１．原油市況～140ドル台が目前に

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、6月6日に一時1バレル＝139.17ドルと史上最高値を更新し、140ドル台に迫った。根強い需給ひっ迫観測が続く中、欧州の利上げと米雇用指標の悪化によるドル安が相場の押し上げ要因となった。

原油相場の上昇テンポは一段と速まっている。しかし、原油相場は2007年の平均である72ドルから60ドル以上も上昇した水準にある。世界の原油需要は年間300億バレル強であり、仮に原油相場が1バレルあたり60ドル上昇すると、年間2兆ドルも石油ユーザーの負担は増えることになる。原油輸入国の経済は、原油高によって大きく下押しされることが懸念される。

石油の需要面では、価格高による需要減退や重油から天然ガス等への代替が表面化するとみられる。夏場にかけて、ガソリン需要の増加観測が強まりやすく、原油相場の上昇は続く可能性がある。しかし、実際には景気減速やガソリン価格上昇により、米国のガソリン需要は抑制されるとみられ、年末にかけて、いったん100ドル程度まで反落する可能性があろう。

２．トピック～原油市場における投機筋の動向

最近の原油相場がバブルかバブルでないかとの議論が関心を呼んでおり、実需の要因で説明可能な価格水準を大きく上回っているとの見解が指摘されている。

原油市場で投機家からの資金流入が拡大した背景に、インデックス型のファンドの拡大が指摘されている。原油先物市場の主要な売買主体の比率をみると、実需家と伝統的な投資家がそれぞれ3割程度にとどまるのに対し、インデックス型のファンドは4割程度を占めている。また、インデックスの商品別の構成内訳をみると、原油をはじめエネルギー商品のウエイトが高いことが分かる。

今後の原油相場は、こうした投機家が注目する取引材料や思惑が重要な変動要因になるとみられる。最近の市場で関心の高い需給ひっ迫懸念や為替相場の動向が注目されよう。

原油レポート No.129 原油市場における投機筋の動向

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ