１．原油市況～供給懸念により一段高、一時147ドル台

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、7月11日に一時１バレル＝147.27ドルまで上昇し、最高値を更新した。終値は145.08ドルであった。

7月は初旬にかけて、ＥＣＢ（欧州中央銀行）による利上げがドル安につながるとの観測が広がったため、ドル安に連動した原油高の思惑が強まった。3日の終値は145.29ドルまで上昇した。その後、対ユーロを中心としたドル安が一服する中で、欧州や米国で弱めの景気指標が発表されて需要鈍化観測も出たため、原油相場は130ドル台に戻していた。しかし、7月11日にはイスラエルによるイラン攻撃の可能性が取りざたされ、ブラジルやナイジェリアの供給懸念もあって史上最高値を更新した。

引き続き、ドル安や株安を受けて原油を買い進める投機的な思惑が強まりやすいとみられる。また、地政学リスクなどによる供給懸念も出て、相場の押し上げ材料になっている。しかし、実際には景気減速やガソリン価格上昇により、各国の石油需要は抑制されるとみられ、年末にかけて、いったん100ドル程度まで反落する可能性があろう。

２．トピック～食糧価格と原油価格

バイオ燃料の普及が農産物価格の上昇の要因であるとする見方には、バイオ燃料の推進国を中心に根強い反発がある。しかし、食糧農産物を原材料としたバイオ燃料の生産を政策として積極的に促進するのは、難しくなってきていると思われる。洞爺湖サミットでも、食糧農産物ではなく廃材など利用した第2世代のバイオ燃料の技術開発を急ぐという方針が打ち出された。

石油、金属、農産物の需要が増えるのは各国の人口の増加や経済発展を背景としており、それらを生産するための資源は有限であるため、主要国が協議しても、即効性のある対策となると打ち出すのは非常に難しい。

しかし、少なくとも、原油高の悪影響が各方面に広がるのを防ぐべく、対策を講じる機運が高まってきているとはいえるだろう。引き続き、各国で原油高抑制策が模索されることになろう。

原油レポート No.131 食糧価格と原油価格

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