１．原油市況～需要減退懸念により122ドル台に下落

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、7月11日に１バレル＝147.27と過去最高値を更新したものの、その後は需要減退観測が強まったことから反落し、25日には一時122.50ドルと1ヵ月半ぶりの安値をつけた。

15日に行なわれたバーナンキ米ＦＲＢ議長による議会証言で、景気の下ぶれリスクが強調され原油需要の減退懸念が強まった。イランの核問題について米国とイランに緊張緩和の動きがみられ、イランをめぐる地政学リスクが後退したとの認識が広がったことも相場の押し下げ要因となった。この間、米国の週次統計で、原油、ガソリン在庫がいずれも増加し、需要の弱さを示す内容であったことも需要減退観測を一段と強め相場の下げ足を早めた。

原油相場は高値から15％下落し反落傾向が鮮明となっている。今後は下値を模索する展開が見込まれ、原油需要の減退観測による売りが優勢となる見通しである。実際に、景気減速やガソリン価格上昇により、先進国を中心に各国の石油需要は抑制されるとみられ、年末にかけて、いったん100ドル程度まで反落する可能性があろう。

２．トピック～投機規制強化をめぐる動き

米国では、原油市場への投機的な資金流入に対し規制強化を求める動きが強まっており、議会に投機抑制法案が提出されている。機関投資家に利用されているインデックスファンドの投資資金は、先物市場で建玉制限が課されており、本来は代表的な2つのインデックスファンドだけで、原油相場を押し上げるほどの資金流入が生じない。

しかし、現在の取引所規制によると、米大手金融機関は原油貯蔵タンクを保有していることもあり実需筋に分類され、建玉制限が課されていない。こうした制度を利用して金融機関とインデックスファンドがスワップ取引を行い、インデックスファンドの資金は、金融機関を通じ実需筋の資金として原油市場に流入している。

「エンロン・ループホール」と呼ばれる現行制度のこうした不備が、原油相場の押し上げ要因になっているとして、投機抑制法案では実需筋の要件を厳格化しているほか、民主党のオバマ大統領候補もエンロン・ループホールの廃止を訴えている。

原油レポート No.132 投機規制強化をめぐる動き

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