１．原油市況～需要減退懸念により110ドル台前半に下落

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、7月11日に１バレル＝147.27ドルの過去最高値をつけたものの、その後は下落基調で推移し、8月15日の終値は113.77ドルであった。

8月に入って、原油相場の押し上げ材料が無かったわけではない。例えば、5日にアゼルバイジャンからの原油を地中海まで輸送するトルコ領内のパイプライン事故が発生して原油供給に障害が生じ、7日にはロシアとグルジアの軍事衝突が発生してアゼルバイジャンからグルジアを経由するパイプラインからの原油供給にも懸念が生じた。しかし、ドル高がドル建て原油価格の下押し要因になり、世界景気の減速観測から原油需要の減退が強まっている。

景気の減速や石油製品価格の上昇により、先進国を中心に石油需要は抑制されるとみられ、年末にかけて100ドル程度まで反落する可能性があろう。

２．トピック～2009年までの原油価格の見通し

2007年後半からの相場上昇が急であったため、原油消費国では原油高の負担感が強まり、足元の景気減速の大きな要因になっている。

もっとも、欧州や日本では、人口増加率の低下や省エネルギー技術の普及などより石油需要の減退が続いていることに加えて、米国でも景気の減速や価格の高騰が影響してガソリンや重油を中心に需要の減退が目立つようになっている。また、足元では、欧州などの景気減速が新たな石油需要の抑制要因として意識されてきている。

需要が旺盛な中国でも、オリンピック後には石油製品価格の引き上げが進められるとみられ、需要の伸びが抑制されてくるであろう。また、オリンピック開催を前に、石油会社が政府より求められていた石油在庫を積み増す動きも一巡が見込まれる。需要全般の伸び悩み傾向を受けて、2008年末にかけて原油相場は下落傾向が続くと予想される。2009年には米欧景気が持ち直してくる中で、新興国を中心とした需要増加観測が強まり、原油相場は再び上昇すると考えられる。

原油レポート No.133 2009年までの原油価格の見通し

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