１．原油市況～110ドル台でいったん下げ止まりの動き

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は下落傾向が鮮明となる中、8月20日には一時110ドル近くまで下落したが、その後、グルジア紛争やハリケーンなど供給懸念により下げ渋り、110ドル台半ばでの推移が続いた。この間、米国で金融不安が再燃しドルがやや軟調であったことも買い材料となった。

原油相場は、7月中旬以降続いた一本調子の下落が110ドルでいったん下げ止まり落ち着きを取り戻している。もっとも、グルジア紛争をめぐり、米ロの緊張の高まりやパイプラインの爆発が起きても、市場の反応は限定的であり地合いの弱さを示している。米国を中心に先進国の原油需要の減少傾向も鮮明になっており、相場が反転する局面では戻り待ちの売りが活発になることが予想される。米国で規制強化の動きを背景に市場から投機資金の流出が伝えられていることも相場の上値を抑えている。このため、原油相場は昨年初めからの上昇傾向が一服し、年末にかけて100ドル程度に下落する見通しである。

２．トピック～原油相場の下値のめど

世界最大の原油消費国である米国で、原油価格が中長期的に高止まりするとの見方が強まる中で、家計や企業による省エネの取り組みが強化されている。需要面でのこうした構造変化により、景気が回復に転じる局面でも原油需要はさほど回復しない可能性がある。

また、投機規制については今後も新たな動きが予想され、新規制の具体的な内容を確認するまで投機筋は動き辛いとされる。

参考までにチャート分析から下値の目処をみると、200日移動平均線は110ドルにあり、下げ止まりの動きが続く最近の相場動向と符合する。この水準を下抜けすると100ドル近辺に市場関係者の目線が集まるであろう。かりに100ドルを下回る場合には、多くの人が注目するような下値の目処が立ちにくく、相場は下落テンポを加速させる可能性も出てくることになろう。

原油レポート No.134 原油相場の下値について

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