【日本経済の景気概況】

3月調査の日銀短観は、大企業・製造業の業況判断DIが悪化に転じるなど、景況感の改善が足踏み状態になっていることを示す内容となった。先行きについては、大企業では小幅ながら改善が見込まれているものの、中小企業では慎重な見方が続いている。

鉱工業生産をみると、2月は前月比－1.7％と2か月ぶりに減少した。製造工業予測指数によると、3月は前月比+2.8％、4月は同+0.2％を予測しており、1-3月期は前期比+0.9％と昨年7-9月期とほぼ同水準まで回復する見込みである。出荷の伸び悩みもあり生産は横ばい状態が続いているが、在庫はかなり低水準となっており、さらに減少を続ける状況ではない。

景況感や鉱工業生産に足踏み状態がみられるなか、企業収益は製造業を中心に着実に回復している。10-12月期の経常利益は、前年比＋22.7％と2期連続でプラスとなった。業種別に見ると、製造業は前年比＋72.7％とプラス幅が拡大しているのに対し、非製造業では-1.7％と前期のプラスから再度マイナスに転じており、収益の回復が遅れている。企業はリストラなど固定費削減を進めており、企業収益回復の動きは当面続くとみられる。

企業収益の回復を背景に設備投資も緩やかに回復している。10-12月の設備投資は前年比－1.8％となり、3期連続でマイナス幅が縮小した。半年程度先行する機械受注も前年比マイナス幅が縮小しており、1-3月には同比プラスに転じる見込みである。

個人消費をみると、2月の勤労者世帯実質消費支出は前年比－1.6％と5ヶ月連続マイナスとなった。一部供給サイドの統計は堅調に推移しているが、消費者マインドの指標には明確な改善傾向は示されていない。個人消費は今後もやや弱含みの展開が続く可能性がある。

貿易収支は、輸出の伸びが鈍化する一方、原油輸入の増加を主因とした輸入の拡大により黒字幅が縮小している。サービス収支は海外旅行者数の回復に伴い赤字拡大基調、所得収支は直接投資受取の減少により黒字縮小基調が続いている。今後イラク戦争の影響で海外旅行者が減少に転じ、サービス収支の赤字基調は改善していく可能性があるが、シェアの大きい貿易黒字の縮小を主因として、経常黒字は縮小傾向が見込まれる。

公共投資は、予算制約を背景に名目公共投資の減少が続いている。ただし、補正予算効果の顕在化も見込まれ、足元の減少幅は縮小する見込みである。

グラフで見る景気予報（2003年4月）

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ