【日本経済の景気概況】

6月調査の日銀短観は、業況判断ＤＩが大企業・製造業を始めとして全般に改善し、景気が緩やかながらも回復を続けていることを示す結果となった。イラク戦争終結や株価上昇など外部環境の改善も景況感改善にプラスに働いたとみられる。ただし、先行きについては、製造業では大企業、中小企業ともに6月調査と同水準を見込んでおり、非製造業では中小企業では悪化、大企業でも小幅な改善にとどまるなど、慎重な見方が多い。

景況感改善には企業収益の回復も貢献している。経常利益は、製造業が牽引役となり増加基調が続いているが､1-3月期はやや伸びが鈍化している。人件費削減などのリストラ効果がプラス要因となっているが、非製造業では売上高の落ち込みに追いついておらず、経常利益が２四半期連続で前年比マイナスとなっている。

生産は、5月の鉱工業生産指数が前月比+2.5％の増加となるなど、弱いながらも回復が続いている。製造工業予測指数によると、6月は＋1.2％、7月は-0.7％を見込んでおり、4-6月は前期比プラス（+0.1％）を維持することになる。在庫率は引き続き低水準で推移しており、生産は目先は底堅い推移が見込まれる。

設備投資は緩やかに回復しており、前年比のマイナス幅も縮小してきている。先行指標となる機械受注（船舶・電力を除く民需）が前年比プラス圏内で推移しており、今後設備投資の回復基調が続く見込みである。4月の機械受注は前月比-1.8％と、見通しより小幅の減少にとどまっている。

個人消費は、ＳＡＲＳ等による消費者マインドの低下が一部で懸念されたが、5月のマインド統計は改善している。ただし、5月の平均消費性向は大幅に低下し、実質消費支出も前年比減少が続いている。消費は所得環境の厳しさを背景に低調な推移が続く見込みである。

5月の住宅着工はマンション、持家ともに減少し前年比-7.7％と大幅なマイナスに転じた。マンションメーカーの用地取得意欲は低く、今後のマンション着工増は期待できない。住宅着工は弱含みの展開が予想される。

輸出の伸び鈍化を背景に貿易黒字の拡大が一服しているが、イラク戦争やSARSにより海外旅行者が減少し、サービス収支の赤字幅が縮小している。このため、経常収支黒字は拡大している。

グラフで見る景気予報（2003年7月）

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