【今月の景気判断】

景気は緩やかに持ち直している。内需においては、雇用が改善し、名目賃金が増加する中で、食料品を中心とした物価高によって家計の節約志向が高まっており、個人消費は横ばい圏で推移している。これに対して企業部門では、景況感の回復傾向に一服感がみられるが、良好な業績を反映して企業の設備投資意欲は底堅く、価格高によるマイナスの影響や人手不足による供給制約がある中でも緩やかに持ち直している。外需においては、インバウンド需要は増加基調にあるうえ、米国の関税引き上げへの対応から自動車などを中心とした駆け込みにより、輸出は増加している。こうした動きを受けて、生産は横ばいで推移している。

今後は、内需が底堅さを維持する中で、米国の関税政策によるマイナスの影響が徐々に広がってくると予想され、景気の持ち直しテンポは大きく鈍化する可能性がある。個人消費は、物価高への懸念は根強いが、名目賃金の増加が続き、物価上昇圧力が徐々に落ち着いてくることに合わせて消費者マインドも徐々に改善してくるため、緩やかな持ち直しの動きが続こう。さらに、企業の設備投資は、投資意欲が底堅く、今後も持ち直しが続き、景気を下支えすると期待される。一方、輸出は、自動車などの駆け込み輸出の反動、世界経済の減速により、下振れリスクが強まっていく。日米関税交渉が早期にまとまったとしても、中国、EUなどとの交渉に時間がかかる可能性があり、世界経済の減速度合が強まれば、輸出の落ち込みが拡大し、さらに内需にまでマイナスの影響が拡大するリスクがある。また、物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化によって個人消費が落ち込む、人手不足による供給制約に直面する、などもマイナス要因である。

【今月の景気予報】

今月の景気予報2025年5月

【当面の注目材料】

個人消費～実質賃金の動向、物価高に対する消費者マインドの動き
企業部門～トランプ関税の輸出企業の業績・設備投資への影響、人手不足・賃上げへの対応
海外経済～トランプ大統領の政策と世界経済の先行き、米国の利下げ動向、米景気のスタグフレーションのリスク、ウクライナ情勢の動向
その他～日米関税交渉の行方、参議院選挙を控えた経済対策の内容

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グラフで見る景気予報（2025年5月）

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