2020年10月に日本政府が2050年のカーボンニュートラル宣言をしてはや3年が経過した。日本の自動車産業は当初、自動車工業会・トヨタ自動車(以下、トヨタ)を中心にBEV(バッテリーEV)への急速な転換に懐疑的な見方をした。しかし、トヨタが2026年および2030年のBEV目標販売台数を公表するとともに、BEVの開発と事業のための専任組織であるBEVファクトリーを立ち上げ、テスラや中国新興メーカーに勝つためゼロベースでチャレンジを始めた。また、中国では2023年1~6月の自動車販売に占めるBEVのシェアは16%となり、地域によって転換スピードや最終的な割合の差はあるものの、BEVへの転換は既に一定程度進展した。その結果、2026年に向けては、内燃・駆動系の日系サプライヤーの売上が大幅に落ち込むことが想定される。
このような状況下、日系サプライヤーは従来の部品領域や顧客に固執することなく、新たな販路開拓やそれを実行できる社内体質の強化などに手を打っていく必要がある。これまで顧客から依頼されたものを120%で打ち返していく、どちらかと言えば下請け的な発想が強かったところから、新たなチャレンジが求められている節目に来ているとも言える。
そこで本稿では、日系部品サプライヤーが直面する環境変化について述べた後、今後どのような観点でBEV時代の販路開拓を実施すべきかを解説する。
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