三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社では、自主調査研究として「新たな人材が活躍できる中山間地域農林業の実現に向けた支援機能に関する調査」を実施いたしました。これは下記に示すような社会的な背景や課題認識を踏まえ、主に中山間地域における農林業が持続的な「基盤産業」として地域社会を担えるようにするために必要な支援機能や社会システムのあるべき姿を提言するものです。

－本調査研究の趣旨－

食料・木材需要の逼迫、温室効果ガスの吸収や生物多様性の保全、再生可能エネルギーの生産など、農山村の自然資源（森林・農地等）を持続的に利活用していくことの重要性が様々な分野で指摘されるようになっています。しかし、自然資源を利用する主な経済活動である農林業に目を向けると持続性が担保されている状況にありません。

特に、外部要因によって農産物や木材の市場環境が今後好転しても、農林業の持続性を脅かす要因として顕在化するのが、熟練した技術・経験を持つ農林業「人材」の不足です。長年農業に従事してきた熟練層（(特に昭和1桁生まれの世代)が近い将来、現場から順次リタイアすることで、地域農林業の担い手不足や利用放棄地の急増等の問題が深刻化し、農山村地域自体の持続性を低下させる恐れがあります。