サステナビリティ(環境・資源・エネルギー・ESG・人権)

変貌する気候変動対策

ロス&ダメージ対策で統合的な災害リスク管理が加速する

2022/09/01 矢野 雅人
気候変動
カーボンニュートラル
サステナビリティ

要旨

  • 気候変動がますます進行し、緩和策や適応策の限界も指摘されるなか、第3の気候変動対策としてロス&ダメージ(ロスダメ)対策が注目を浴びている。
  • ロスダメ対策とは、気候変動の影響によって経済的・非経済的な財が被る損失や被害を回避、最小化する、あるいは事後的に対処する取組である。もともとは適応策の一部として取り扱われていたが、国際的に議論が交わされるなかで徐々に適応策から切り離され、今では独立したテーマとなっている。
  • ロスダメをめぐる議論の背後には常に資金の問題がある。気候変動に脆弱な途上国は、ロスダメ対策が遅々として進まない要因を資金不足に求め、先進国に新たな資金拠出を要求している。一方、先進国は、一足飛びに資金拠出につながる議論に慎重姿勢を貫いている。
  • 議論の膠着を打開するためには、まず既存の資金を整理し、利用状況について検証する必要があるだろう。その際、他のテーマの資金にまで対象範囲を拡げ、ロスダメ対策との関連性を積極的に見出そうとする姿勢で臨むべきである。そのうえで、既存資金の存在が認められれば、もともとの用途にロスダメ対策を統合し、資金効率を高めながら取組を推進することが望まれる。
  • 実際、本稿で整理を試みたところ、適応、防災、人道支援、開発援助といったロスダメ対策に関連するテーマに多額の資金が存在することが明らかとなった。先進国の財政が逼迫し、資金を拠出する余力に乏しいなか、今後は限られた資金をテーマの枠を超えて活用することで統合的に災害リスク管理を進めるアプローチが主流になるだろう。
  • 同様のアプローチは資金不足に直面する緩和策や適応策にも有効かもしれない。ロスダメ対策への関心の高まりを気候変動対策に根本的な質的変化をもたらす契機として捉える必要がある。

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