PBR

facebook x In

PBR とは、Price Book-value Ratioの頭文字を取った略称で、日本語では「株価純資産倍率」と呼ばれる。株価が「1株当たり純資産」の何倍であるかを示す。

株価が割安か割高かを判断するための指標として利用され、PBRの数値が低いほど、株価は割安であると判断される。
純資産は、企業が解散して資産を分けた際に株主に分配される資産だが、PBRが1倍である場合、株主にとっては企業が解散した時に手にする金額と、株式を市場に売却した時に手にする金額が同じになる。
一方、例えばPBRが0.8倍(1株当たり純資産:1000円、株価800円)である場合、株主にとっては企業が解散した時に手にする金額は1000円、株式を市場に売却した時に手にする金額は800円となる。
このため、PBRが1倍を下回ることは、本来の資産価値より割安で株式が取引されていることを意味する。しかし、日本の株式市場には長期にわたってPBRが1倍を下回っている銘柄も多く存在する。PBRが1倍を下回った状態が続くということは、株式市場ではその状態が本来の企業価値だと判断されている、という見方も可能である。

2023年3月、東京証券取引所はプライム/スタンダートの全上場企業に対して、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」という要請を行った。この要請の特徴として、PBRの1倍割れを資本収益性や成長性に課題がある状態の一つの目安とし、特に1倍割れの企業に対して、資本コストや資本収益性についての改善策の開示・実行などを求めている。
こうしたことから、PBRは企業経営の改善における重要な一つの切り口として、投資家からより注目されるものになっている。

(能登 優)