知財・無形資産

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知財・無形資産とは、従来の特許に代表される知的財産権に関わる資産から、より広い概念として、知的財産および無形資産を表現したものである。2021 年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を受け、上場企業は、知財・無形資産の投資・活用に関する経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行、それらの実効的な監督とともに、企業内の知的資産の経営視点からの投資と、活用の方針に対する情報開示が求められることとなった。

2023年3月に「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(座長:加賀谷哲之一橋大学商学部教授、事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局・経済産業省経済産業政策局産業資金課)は、「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」Ver.2.0を公表し、下記の観点からの積極的な情報開示と、投資家との対話により企業価値を適切に評価してもらうことが重要としている。

  • (1)企業と投資家・金融機関が相互に情報を発信し、それに基づく双方向の対話を実践。
  • (2)投資家・金融機関には、 企業からの開示情報を踏まえ、「因果パス」を見抜く力が必要。
  • (3)企業には、多様な投資家・金融機関の特徴に応じた対話スタンスが必要。

知財・無形資産が、特許・実用新案といった従来の知財概念から拡張され、これを取締役会が管理監督する責任が発生した。こうして、従来の知財部門とは違う、かつ必ずしも技術に関連しない経営目線の「知財経営」が重視されるようになった結果、技術系企業以外にも、新しい「知財・無形資産戦略」が幅広く求められている。

(米谷 真人)