トランスメディアストーリーテリング

facebook x In

トランスメディアストーリーテリングとは、複数の異なるメディアを融合することにより、一貫したテーマで物語を定義していく手法を指す。テーマに関する情報を上手く断片化して異なるメディアで発信することで、生活者の興味を喚起し、コンテンツの魅力や価値を向上させることが可能になる。
英語表記のTransmedia Storytellingの頭文字を取って、TMSと略される。

トランスメディアストーリーテリングの展開により、生活者はさまざまなメディアから少しずつ情報を得たうえで、ひとつのストーリーを見出していく。パズルのように情報を組み合わせ、手間をかけて物語を完成させていくため、より深い体験価値が生まれることになる。
人気コンテンツのなかには、ゲーム・動画・コミック・SNS等で交差するトランス状況を創り出し、新しいCX(カスタマーエクスペリエンス)を生み出す工夫をこらしたものも存在する。

世界で大ヒットし、人気コンテンツとなった『鬼滅の刃』も、トランスメディアストーリーテリングの手法を採用している。テレビアニメシリーズではほとんど登場シーンのなかった煉獄杏寿郎を映画のメインキャラクターに登用し、キャラクターへの理解を深めるために入場者特典(オリジナルストーリーコミック)の配布や上映に合わせた外伝の雑誌集中連載を行ったほか、複数のメディアを使用した世界観の拡張等を実施し、物語体験を重層的につなげることに成功した。
このほか、物語を断片的に提供することで価値向上の有効性を示す事例として、ハリウッド映画の『マトリックス』シリーズ、韓国アーティストの「BTS(防弾少年団)」などが挙げられる。