三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社（本社：東京都港区、代表取締役社長：池田雅一）は、厚生労働省より令和5年度老人保健健康増進等事業の採択を受け、以下の事業を実施することになりましたので、お知らせいたします。

各事業の概要

【テーマ番号：8】介護保険事業計画策定における各種調査結果の分析に関する調査研究事業

市町村は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等の事情を把握し、その分析結果を勘案して市町村介護保険事業計画を作成することとされている。そのための調査手法として「在宅介護実態調査」「在宅生活改善調査」「居所変更実態調査」「介護人材実態調査」を示しており、これらを活用して必要なサービスを検討することを推奨している。

本事業では、自治体の協力を得て、第9期計画作成に向けて実施した調査結果のデータを収集し、結果を分析した上で、施設・在宅サービスのバランスの取れた基盤整備の検討に資する分析方法など介護保険事業計画への効果的な活用に向けた検討を行い、報告書にまとめる。

【テーマ番号：11】中山間地域等における介護予防・日常生活支援総合事業等を活用した高齢者等の移動手段確保に向けた支援に関する調査研究事業

高齢者になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムを構築するためには、介護・予防・医療といった直接的なサービス提供基盤の維持・確保だけでなく、地域生活課題への対応が必要となる。

そのような中、各市町村において高齢者の移動手段の確保に向けた検討が必要となっているが、検討を行うにあたっては道路運送法などの交通施策と介護予防・日常生活支援総合事業等の高齢者福祉の両方の知識が必要となるため、実現が困難な場合が多い。

そのため、各県と共同で、高齢者等の移動手段確保を進めていこうとしている市町村に対してアドバイザー等による相談を行うなど、市町村への支援等を実施する。

【テーマ番号：12】地域の介護予防を推進するための包括的・継続的ケアマネジメント支援業務のあり方と地域包括支援センターの事業評価に関する調査研究

介護予防・日常生活支援総合事業の充実・活性化に向けては、介護予防ケアマネジメントを通じて利用者にとって適切なサービスを選択する必要がある。現在、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の一環として自立支援型地域ケア会議を行っており、こうした取組の成果を、総合事業の多様なサービスを地域で更に展開することにつなげるための方策を検討する必要がある。

併せて、介護保険法に基づく市町村と地域包括支援センターによる質の評価を実施するため、国が平成30年度に作成した事業評価指標についても、施行後5年を経過しての活用状況や、次期制度改正の動向を踏まえた見直しを行う必要がある。

これらを踏まえ、以下を実施する。

(1)　市町村において、地域の介護予防ケアマネジメントの実施状況等を踏まえ、総合事業の多様なサービスごとの対象者モデルの検討を行い、利用者の介護予防ケアプランの作成に反映する取組を、数カ所の市町村でモデル的に実施した上で、介護予防の充実のための包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の手法を検討し、マニュアルとして取りまとめる。

(2)　(1)の内容や、地域包括支援センターの事業評価指標の活用状況や制度改正の動向を踏まえ、新たな事業評価指標案を提言する。

(3)　(1)、(2)について報告書として取りまとめる。

【テーマ番号：21】地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントのあり方に関する調査研究事業

地域におけるケアマネジャーの役割は多様化・複雑化しており、今後さらに高齢者人口割合が増加していくことを踏まえれば、その個別ニーズに対応しつつ、自立支援に資する質の高いケアマネジメントを実現していくためには、地域包括ケアシステムにおけるケアマネジャーの役割を明確化した上で、包括的な方策を講じていく必要がある。このため、本事業では、下記の内容を実施する。

(1)　地域におけるケアマネジャーの役割を明確化するために、ケアマネジャーの業務実態、利用者のニーズ等を把握するための調査

(2)　地域におけるケアマネジメントの質の向上に向けた課題を把握するための調査、方策の検討

(3)　地域包括支援センター等の他機関との連携や地域資源の活用、意思決定支援など、地域包括ケアシステムの中核としてのケアマネジャーのあり方の検討

また、これらの調査・検討を行うための委員会を設置し、その結果を報告書にまとめる。

【テーマ番号：23】中山間地域において災害時でも安心して住み続けられる地域づくり政策に関する調査研究事業

四国管内における防災も含めた互助の仕組みづくりに関する市町村の課題の把握や参考となる事例を収集・分析を行い、その結果を踏まえたフォーラムを開催し、将来の方向性を含めて報告書にまとめる。

【テーマ番号：24】「介護現場における感染症対策の手引き」の改訂、及び医療機関との感染対策の連携の実態に関する調査研究事業

介護サービスは要介護者、家族等の生活を支える上で欠かすことができないものであり、感染防止対策の徹底を前提としたサービス継続が求められる。令和3年3月に「介護現場における感染症対策の手引き」を策定後、特に新型コロナウイルス感染症に関して、最新の知見を反映させる必要があることや、感染症類型の見直し等を踏まえ改訂する必要がある。このため本事業において、学識者や介護現場等の有識者からなる検討委員会を設置し、成果物として「介護現場における感染症対策の手引き」の改訂（案）を作成する。

また新型コロナウイルス感染症の流行後、介護施設等が協力医療機関等と連携して、どのように感染対策及び感染者等に対する医療・介護の提供を行ってきたのか実態を明らかにするための調査研究を行い、今後の施策への提言をする。なお本調査は、令和6年度同時報酬改定の検討資料とされるものである。

【テーマ番号：31】看護小規模多機能型居宅介護の特性を踏まえた普及を図る方策に関する事業

令和3年度介護報酬改定の審議報告における「今後の課題」として、看護小規模多機能型居宅介護の更なる普及を図るための方策について、引き続き検討するとともに、これらのサービスについて、事業者の経営実態や利用者の状況も踏まえ、その機能・役割を改めて検証した上で、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、在宅生活の限界点を高めるために必要な対応を総合的に検討していくべきとされている。

そこで、本事業では、看多機の機能・役割を検証するため、利用者特性に合わせたサービス提供内容の変遷等を把握する実態調査を行う。

また、地域密着型サービスである看多機及び小多機の更なる普及を図るため、ヒアリング等により事例を収集して整理し、自治体向け手引きを作成し周知する。

【テーマ番号：38】集合住宅における小規模多機能型居宅介護のサービス提供状況に関する調査研究事業

小規模多機能型居宅介護の更なる普及にも資するよう、集合住宅におけるサービス提供状況に関して調査等を行った上で、有識者や事業者団体等により組織する委員会において分析等を行い、報告書として取りまとめる。

(調査項目案）

事業所の職員体制、定員、登録者数、地域との関わり等
サービス提供状況（訪問、通い、泊まりの提供回数、内容、ケアマネジメントの状況等）
自治体の整備方針や指導、監査の状況（自治体調査）
利用者の満足度、医療ニーズの有無や利用開始に至った経緯など（利用者調査）

【テーマ番号：55】第9期介護保険事業計画期間における介護予防・日常生活支援総合事業の充実・活性化に向けた方策に関する調査研究事業

介護予防・日常生活支援総合事業は、既存の介護サービス事業者に加えて、住民主体の取組を含む、多様な主体によって介護予防や日常生活支援のサービスを総合的に実施できるようにすることで、市町村が地域の実情に応じたサービス提供を行うことができるようになっている事業である。しかしながら、同事業が現在の形に改められた平成26年介護保険法改正から一定期間が経過しているにも関わらず、事業目的を達成できていない市町村が数多くあるとの指摘もなされている。このため、第9期介護保険事業計画期間に向けて同事業の充実・活性化策を検討する。

【テーマ番号：99】外国人介護人材の介護福祉士国家資格取得に向けた指導者養成の在り方に関する調査研究事業

介護職種の技能実習生及び介護分野の特定技能外国人に対する介護福祉士国家資格の取得のための学習支援が求められている。

既に先行的に実施している経済連携協定（EPA）に基づく受入れによる学習支援等のノウハウや介護福祉士養成施設等に通う留学生に対する教育方法等に加え、これまでの事業で得られた示唆も踏まえ、介護職種の技能実習生及び介護分野の特定技能外国人に対して介護福祉士国家資格取得のための効果的かつ効率的な学習支援を行うための指導や教育チームの養成を促すことが必要である。

本事業では、こうした指導や教育チームを養成するための方策等を検討し、試行的に研修等の事業を実施する。

【テーマ番号：111】介護離職者の離職理由の詳細等の調査及び勤労世代の介護離職防止に資する介護保険制度の広報資料等の作成

今後、更なる高齢化が見込まれている中で、介護離職の防止を始めとした、仕事と介護が両立できる環境の整備は重要な課題である。

令和3年度に厚生労働省雇用環境・均等局が実施した委託調査によれば、

企業内における、労働者が40歳となり、介護保険の被保険者となった際などの介護保険制度の周知の実施状況は十分とはいえないこと、
介護のために離職した方に、離職の理由の詳細を尋ねると、約30％が介護保険サービス等に関する理由を挙げ、その理由を細分化すると、介護保険制度の不知等も含まれていること

が把握されている。これらを踏まえ、本事業においては、

同委託調査を参考に、介護のために離職した方の離職の理由の詳細等について、調査を改めて実施し、最新の状況を把握すること、
この結果も活用しながら、主に中小企業内/中小企業の管理職や人事担当者向けのセミナー等で活用可能な研修資料等を作成すること

とする。

この調査の実施に当たっては、同委託調査の調査票を参考に調査票の原案を作成しつつ、有識者等による検討委員会を立てた上で、調査項目を検討することする。

また、この研修資料の作成に当たっては、

企業等で使用することを想定して、異なる住所地の者がそれぞれの住所地における介護保険に係る情報へ容易にアクセスが可能な効果的な方法を検討し、盛り込むこと、
必要に応じて有識者にヒアリングを実施した上、介護休業制度等の労働施策の内容、仕事と介護を両立している方や介護のために離職した方の実体験についての記載も盛り込んだものとすることにより、勤労世代に資する包括的な内容とすること

とする。

本件に関するお問い合わせ

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コーポレート・コミュニケーション室　　廣瀬・竹澤
E-mail : info@murc.jp

令和5年度 老人保健健康増進等事業の実施について

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令和5年度　老人保健健康増進等事業の実施について