当社は、首都圏（東京都・神奈川県）で未就学児をもつフルタイム・ワーキングマザーを対象に、保育所サービスに関するアンケートを行いました。
本調査では、首都圏のワーキングマザーが、保育所のサービスに期待することは何か、そして希望する保育サービスに対していくら支払ってもよいと考えているかを明らかにし、待機児童が減らない現行保育制度の課題をふまえた上で、首都圏において保育所サービス市場を育成するための方向性を明らかにしました。

調査の分析結果概要

本調査は2010年12月18日から23日までに実施し、有効回答数890を得た。

対象者のうち、保育所に末子を預けている人は82.6％の735名であった。
保育所利用者が「現在の保育所に対して追加で実施を希望するサービス」は、「病児（病後児）保育」が63.1％と最も高い。保育所利用者のうち37.3％は「普段から子どものお迎えや病気に際して（夫以外に）頼れる人はいない」と回答しており、病児保育サービスへのニーズは高い。
保育所利用者は、末子1人あたり保育料として月平均32,260円を支払っている。希望する保育所に対して支払ってもよいと考える金額は月平均43,336円であり、11,076円の追加支払い意向が確認された。追加で支払ってもよい金額は、世帯年収が上がるほどより大きく増える傾向にあり、高所得者は付加的サービスに対してより多くの対価を支払う意向がある。ここには、新たな保育サービス市場が存在する。
認可保育所の保育料は、世帯年収に応じて高くなる仕組みだが、自治体が認定する認証保育所や、認可外保育所の利用者において、世帯年収の低い人がより高い保育料を支払わなければならない逆転現象が起こっており、公平性の点で問題が指摘される。
質の高い保育所を増やすためには国や自治体の保育関連予算を拡充することが望まれるが、限りある財源をより多くの利用者に届けるためには、公正な競争環境の整備とともに、効率性をもたらす「市場」機能を取り入れることも検討すべきである。保育の質を低下させないための制度を組み込みながら、付加的サービスの実施を含めて、民間事業者の力を活用していくことが期待される。

詳細は、添付資料をご参照ください。

本件に関するお問い合わせ

コンサルティング事業本部（東京）　マーケット調査室
コンサルタント　松田　明子
〒108-8248　東京都港区港南二丁目16 番4 号品川グランドセントラルタワー
TEL： 03-6711-1222 E-Mail： market@murc.jp

待機児童解消に向けて保育所サービスの市場をいかに育成するか

ニュース