三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループの総合シンクタンクである三菱ＵＦＪリサーチ&コンサルティング株式会社（本社：東京都港区社長：藤井秀延）は、2013年12月に「日系サービス業グローバル展開動向調査」を実施しましたので、その結果を公表します。

【調査結果サマリー】

●回答企業の全体傾向

1. 日系サービス企業の内、実際に海外展開を進めているのは約3割、加えて1割が今後海外展開を計画するステータスにあり、製造業と比較して海外進出はいまだ一般化せず、売上高の規模が大きい企業を除けば本格的な海外進出はまだ途上にあると見ることができます

●進出国・エリアに対する考え方～日本的サービスを如何にアジアに浸透させるか～

2. 多くの企業が進出済みと回答している国は、市場規模や成長性が期待されてきた「中国」を始めとするアジア・新興国を支持する層と、市場が確実に存在すると考えられる「米国」や「シンガポール」など中進国・先進国市場を支持する層とに分けられました

3. 今後の進出国としては引き続きアジア諸国が上位に挙がり、人口規模など成長ポテンシャルのある「インドネシア」「ベトナム」やすでに日系製造業が進出している「タイ」が上位に挙げられました。本調査の回答企業各社様の進出の傾向を捉えると、中国への進出が一段落し、ASEANへの進出にシフトが始まっていると見ることもできます

4. 進出理由は「市場規模」「周辺国への展開可能性」「安価な労働力」から、「富裕層向け」「日本ブランドの浸透可能性」といったキーワードが挙がり、より国内需要を意識した市場の見方が強まっていると捉えられます

●各国市場における展開動向～サービスの担い手をどのように確保するかが引き続きカギに～

5. 顧客ターゲットの面では、進出国の需要・現地企業を狙った展開というより、対象国に進出している日系企業をターゲットとするケースが実際には多く、日本国内で構築した取引関係をグローバルに拡張するというのが日系サービス業の1つの進出パターンと考えられます

6. 各社の海外展開のプロセスを分析した結果、サービス業は規制などの参入時の制約があることから、参入前の検討期間は1年前後を要しています。また、国・業種によらず、パートナーを設定するケースは半数を超えていることも特徴の1つ。日系企業を顧客ターゲットとしながらも現地パートナーとの事業運営となることから、拠点運営で課題を感じる回答が6割程度ありました。特にサービスを担う「ヒト」にまつわる設問では、日本側での人材不足と併せて現地側でのキー人材の確保も課題として挙がっています

7. 海外事業のプランニングでは想定黒字期間を3-5年とするケースが多く挙げられましたが、実際に黒字化した期間は想定よりも長期化するケースが多く、上述の通りある程度日系顧客企業との関係を海外でも活用することはできても、実際には運営面での課題が残っているものと考えられます

●現地消費市場のニーズとの合致度～日系企業に求められる”サービス”の見極めとターゲティング～

8. 弊社実施のアジア新興国消費者調査の結果を踏まえると、日本のサービスに対するイメージは現時点では高い状況にあり、富裕層や年配の層を中心に厚い支持層が存在します。若年層はメディアの影響などから日本ブランド以外にも目を向けるケースがありますが、全般的には丁寧なサービスや確かな品質を評価しています。海外の現地市場を捉える上では、パートナーとの協働の過程で、日系企業の顧客基盤をベースとしつつ、現地ユーザーが求める日本的な付加価値を現地企業・現地消費者が手にすることができるレベルに高度化することが、サービス業企業のグローバル展開の次のステップになると推察されます

本件に関するお問い合わせ

三菱ＵＦＪリサーチ&コンサルティング株式会社
グローバルコンサルティング部　アソシエイト　瀧波　栄一郎
〒105-8501　東京都港区虎ノ門5-11-2
TEL：03-6733-1033

【プレスリリース】 日系サービス業グローバル展開動向調査

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