ソ連崩壊から30年が経過したロシア経済の軌跡~権力のスムーズな移行が最大の課題

2021/02/09 土田 陽介
調査レポート
海外マクロ経済
  • 1991年12月、ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)が崩壊した。2021年はそれから30年が経過したメモリアルイヤーである。連邦を構成した15の共和国はその後、いわゆる体制転換を経て現在に至る。
  • ソ連の後継国家であるロシアの経済は、この30年で10年ごとに危機と繁栄、停滞と紆余曲折を経てきた。この間、課題であった原油依存からの脱却はあまり進まなかった。さらに原油価格の低迷に加えて、2014年のクリミア危機以降は欧米から経済制裁を受けており、経済は苦境にあえいでいる
  • 他方で、ロシア社会は近年、所得格差の是正などに成功したことなどから安定を強めている。とはいえそうした安定は2000年代の繁栄の10年期の貯金を切り崩して実現した安定でもある。社会の安定が続くためにも、ロシア経済は成長の持続可能性を高めていく必要がある。
  • ロシア経済が今後10年で活力を取り戻すためには、引き続き資源国として歩み続けるにせよ、産業構造の多角化を図るにせよ、外資の一段の導入が不可欠である。そのためには、ビジネス環境の一段の整備に努めると同時に、やはり欧米との関係改善も大きな課題となる。
  • 産業政策と外交政策を両立させるためには、政治の安定が必要条件になる。つまるところ、プーチン政権から権力がスムーズに移行されるかどうかが、今後のロシア経済のカギを握る。

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