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テレワーク環境整備を起点にBCPの再構築を

2021/08/24
大重 貴之

2020年初頭、全世界を襲った新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動から生活様式まで我々を取り巻く環境が一変しました。特に、仕事環境においては、出社制限による強制的な在宅勤務がきっかけとなり、テレワークが急速に普及しました。このテレワークの普及により、約6割近い企業が構築済み、または構築中(2019年内閣府調査)とされていたBCP(Business Continuity Plan;事業継続計画)についても、その内容や考え方の再構築が必要となっています。

テレワークの普及状況

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークが急速に広がりました。東京都の調査(2021年5月)によると、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は56.6%となっています。従業員規模別では、従業員300人以上の企業で約8割、従業員30-99人の企業で約6割が「実施中」または「実施予定あり」となっています。

従業員規模別テレワーク実施率

出所:「テレワーク実施率調査」1

テレワーク環境整備のBCPからみたメリット

今般のテレワークの普及にはBCPの観点から、大きく2つの意味があります。
1つ目は、テレワーク環境の整備がBCPの構成要素である「パンデミックというインシデントに対する予防策」として有効であることが明らかになったことです。今後、新型コロナウイルスを含めた感染症への対策としてテレワーク環境での円滑な業務遂行ができる体制を構築することが重要となります。
2つ目は、テレワークがBCPのもう一つの構成要素である「インシデント後の初動対応や事業復旧」に対して大きな役割を果たすということです。テレワークの普及以前は、多くの企業で「人が集まる」ことが初動対応や事業復旧のスタートラインでした。
従来は、インシデント発生時に、以下のようなところから、BCPを構築していました。

  • 初動対応は、本社会議室に災害対策本部を設置し、予め決められたメンバーが参集し、情報収集とともに善後策を検討し、社内各部門に指示を出す
  • 事業復旧では、まずは人的資源の確保(出勤できる人がどれだけいるか)

しかし、テレワーク環境が備わっていると、これらの物理的制約条件の多くがなくなります。災害対策本部がテレワーク環境を生かした会議システムでつながっていれば機能します。また、交通機関が不通で従業員が出勤できなくても、自宅で事業復旧が可能になります。もちろん、製造業のライン業務などは、従来通り出勤しないと復旧できない業務もありますが、テレワーク環境によって事業復旧のハードルが下がった、手段が広がったと言える状況です。

テレワークを活かしたBCPで経営強靭化

上で述べたように、テレワーク環境が整備されている企業では、BCPの中身の選択肢を広げることができます。テレワーク環境の整備を単なる新型コロナ対策のための対症療法と捉えることなく、早期の事業復旧を実現する経営強靭化対策として捉えることが必要です。まずは、できる限りテレワーク環境整備を進めることが先決です。環境整備ができた企業は、テレワークを前提に改めてBCPを全社的、経営的観点から再構築していくことをお勧めします。

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1 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/05/07/10.html(東京都産業労働局雇用就業部労働環境課2021年5月)
サステナビリティ戦略部
チーフコンサルタント
大重 貴之

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