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令和2年度 自治体経営改革に関する実態調査報告

2021/07/12
大塚 敬、鈴木 淳、土方 孝将

人口減少と高齢化を背景とした税収の伸び悩みや福祉需要の増大など、地方自治体の行財政運営を取り巻く環境は厳しい状況にあります。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、財政状況の悪化や市民ニーズの変化などが生じています。地域の持続的な発展を可能にするため、地方自治体においては、これまで以上に行財政運営の効率と質の向上を図っていくことが強く求められます。

こうした状況を踏まえ、三菱UFJリサーチ&コンサルティング自治体経営改革室では、全都道府県、市区を対象として、自治体経営の実態と課題に関する実態調査を平成28年度より実施しています。

本年度の調査では、前年度から継続して把握している総合計画、行政評価、政策形成過程における市民参加、エビデンスに基づく政策形成(EBPM)、自治体のデジタル化(DX)、自治体SDGsに加え、成果連動型民間委託契約(Pay for Success、以下PFS)、国土強靱化地域計画の策定、新型コロナウイルス感染症に対して行った対応策を追加し、これらの実態と課題について把握・分析しました。

<調査結果概要>を見る

<調査結果概要>
■調査対象
:全国の全都道府県47団体、全市792団体、東京都特別区23団体、計862団体

■回収数(率):411団体(47.6%)

■総合計画について

  • 計画構成は依然として3層が多数派を占めているが、基本構想、基本計画からなる2層の割合が上昇している。
  • 6割の団体が基本計画に事業を掲載し、8割弱の団体が重点プロジェクトを設定しているが、約半数が重点プロジェクトの予算上の取り扱いは一般事業と変わらないとしている。
  • 9割強の団体が総合計画に何らかの指標を設定しているが、全施策に定量指標を設定している団体は55.2%にとどまっている。
  • 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「総合計画」は大部分の団体が現行計画では別に策定しているが、基本計画と一体化または包含している団体が2割を占めている。
  • 基本構想、基本計画策定時には約9割が審議組織を設置しており、大部分の団体で学識者、各種団体代表、公募市民が参加している一方、議会議員の参加は24.5%にとどまっている。

■行政評価について

  • 予算事業は64.5%、総合計画事業は71.3%、施策は65.9%の団体で全部または一部の評価を実施しているが、政策で全部または一部の評価を実施している団体は29.7%にとどまっている
  • アウトカム指標の活用は政策評価で34.7%、施策評価で33.1%であり、外部評価の実施は49.8%にとどまる。
  • 評価結果の予算編成への反映や反映状況の公表がされておらず、行政評価がPDCAサイクルの確立に充分活用されていない。
  • 事務作業の大きさや指標設定の難しさが負担となっている一方、負担に見合う改善効果があがっていないことなどが課題となっており、こうした課題を感じている団体の割合は上昇傾向にある。

■総合計画策定における市民参加手法について

  • 総合計画策定時に「ワークショップ・市民討議会」を実施している割合は7割にのぼり、過年度調査と比較して増加している。
  • 参加者の募集方法としては、市報・市HPでの公募や関連団体への声がけが多く、住民基本台帳からの無作為抽出を行う団体は2割程度にとどまる。
  • 提案された意見は、将来像・都市像・キャッチフレーズの策定に活用される場合が多い。
  • 提案された意見は、そのまま計画に記載されることは少なく、委員会・審議会や所管部課内の議論・検討における参考資料として活用される場合が多い。
  • 実施する上での課題としては、参加者の募集において質・量ともに課題を抱えている団体が多く、「庁内における理解」も課題となっている。
  • コロナ禍におけるワークショップの開催は、政令指定都市ではオンライン開催が多く、会場での開催の場合には、消毒液の設置や窓や扉の開放等の工夫が実施された。

■成果連動型民間委託契約(PFS)について

  • PFSに取り組む自治体は増加しているが、前年度調査と比較すると、関心は微減している。
  • PFS導入に関する課題としては、過年度調査と比較してガイドライン・データベースの構築や事業成果の評価、あるいは目標水準を定めることへの指摘が増加しており、PFS導入前の課題から、導入後の課題にシフトしていることがうかがえる。
  • 内閣府が「成果連動型民間委託契約方式の推進に関するアクションプラン」に定めた3つの重点分野のうち、「医療・健康」、「介護」については解決したい課題として挙げられたが、「再犯防止」を課題とした自治体はなかった。
  • 導入のメリットとして、過年度に比べ民間事業者の事業改善努力が促進されるとの意見が増加している一方で、行政コストの削減につながる等の意見は減少した。

■エビデンスに基づく政策形成(EBPM)ついて

  • 大部分の団体がEBPMに関心を有しているが、現在具体的な取組や検討を行っている団体は、増加傾向にあるものの未だ19.7%にとどまっている。
  • 現在実施されているEBPMの取組は「成果指標の前後比較」や「成果指標のベンチマーキング」が多く、行政評価に組み込む形で取り組んでいる団体が多い。
  • EBPMを推進する上での課題としてノウハウや知識、参考となる事例などの不足が挙げられているほか、国による指針など実施のよりどころになるものがない、専門家とのネットワークが足りないとする割合が高まっている。

■行政実務における先端テクノロジーの導入について

  • 大規模自治体が先行して官民連携データ活用推進計画を策定している。
  • 行政手続きのオンライン化は75%程度の自治体が積極的に進めていく方針である。
  • ビッグデータを活用している自治体は限られるが、大規模自治体では半数程度が既に活用している。
  • AIを既に活用している自治体は増加しており、小規模自治体でも活用の検討が進んでいる。

■自治体SDGsの取組について

  • SDGsに関する取組を実施する自治体は年々増加傾向にあり、特に本年度は大幅に増加して「実施している」が約半数に達した。
  • 取組内容としては、SDGsの概念や取組を既存の計画の中に盛り込む事例が大多数である。また、「目標達成に向け、具体的な事業を実施する」と回答する割合が増加している。
  • 自治体SDGsの取組を推進する上での課題として、SDGsに関する「知識の不足」や「庁内の理解不足」は前年度調査に比べ減少傾向にあるが、「専門家とのネットワークがない」、「予算が足りない」、「人手が足りない」等のSDGsの取組に係るリソース不足が増加傾向にある。

■国土強靱化地域計画の策定状況等について

  • 国土強靱化地域計画の策定状況について、ほぼすべての自治体で、策定済み・策定中もしくは策定を検討している。
  • 策定の主な所管は防災・危機管理担当が多いが、企画担当が策定を担うケースもみられ、一部では都市計画部局が担うケースや、国土強靱化担当を設置するケースもみられた。
  • 国土強靱化地域計画の位置づけとして、「総合計画と並列の関係として、独立して策定する」割合が過半を占め、総合計画内の中に国土強靱化地域計画の内容を記載して、総合計画と一体化させてしまう割合は3.6%にとどまった。

■新型コロナウイルス感染症への対応策について

  • 市民向けの行政サービスの見直しとして実施したことは、市民への独自の交付金の支給が半数。事業者向けの支援として実施したことは、独自の交付金の支給が8割を占める。
  • 職員の在宅勤務は、在宅を希望する職員に対して許可をしている団体が4割を占める一方、行政端末を用いずに在宅で業務をしている団体が3割を超える。
  • WEB会議は8割の団体が所定の共用PCのみで利用可能となっている。
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公共経営・地域政策部
上席主任研究員
大塚 敬

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