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政策への架け橋(専門職団体、実証研究)が機能するアメリカの教員専門能力開発

諸外国の継続的専門能力開発(CPD)から見る シリーズ第5弾

2021/08/17
枡田 恵、淺田 陽子

【要旨】

「諸外国の継続的専門能力開発(CPD)から見る」シリーズの第5弾では、アメリカのCPD(Continuous Professional Development)政策に着目し、本稿ではCPD政策を取り巻く教員養成政策や専門職団体等について概括したのち、アメリカでのCPDの取組や動向について、政府の他、専門職団体、研究との関係性という観点から調査した結果をとりまとめた。

その結果、アメリカでは、全国・州の教育機関のコンソーシアムである州間教員評価支援機構(Interstate Teacher Assessment and Support Consortium:InTASC)、教職の高度化を目的とした全国規模の委員会である専門基準国家委員会(National Board for Professional Teaching Standards:NBPTS)といった専門職団体が、専門職基準等の開発、運用を主導していること、各州がそうした基準等を活用しながら、それぞれが求める教員の養成、採用、専門能力開発などに取り組んでいることが示された。また、アメリカには、学区レベルで大学と公立学校が連携して教員養成、および現職教員の研修など専門能力開発も行う教職専門開発学校(Professional Development Schools:PDS)が存在し、研究と実践をつなぐ地域の拠点として体制が確立されている。こうした専門職団体等による基準や取組にCPDが関連付けられており、アメリカにおいては、専門職団体が教員によるCPDを推進するうえで重要な役割を果たしていることが示された。

さらに、アメリカでは、古くから専門能力開発に関する実証研究が数多くなされており、CPDを効果的にする要素を示す研究をはじめ、CPDの効果を検証する研究もある。こうした研究成果から専門能力開発に関する多様な知見が蓄積され、それに基づくCPDの改善が継続的に図られていることはアメリカの大きな特徴といえる。

CPDに関する近年の動向としては、連邦政府により教員主導のパーソナライズされた自律的なCPDを求める動きや、専門職基準だけでなく個々の教員評価にもCPDを関連付ける動きがみられている。

一方でアメリカのCPDについて、多様な主体がCPDを提供していることに伴い、教員のCPDの経験が断片化されてしまう恐れがあること等が課題として指摘されていた。

こうしたアメリカの状況から、日本が抱えるCPDに関する課題に対する示唆を導いた。特に、アメリカのような専門職団体が主導しCPDを推進する体制は、専門職団体不在の日本において参考になる点として挙げるとともに、豊富な実証研究によりCPDの継続的な改善が実現されるアメリカに対し、国内におけるCPDに特化した研究がまだ十分でない日本において、日本におけるCPDの知見を蓄積することの重要性を指摘した。

続きは全文紹介をご覧ください。

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地球環境部
副主任研究員
淺田 陽子

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