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製造業の統括拠点として好まれるタイ

シリーズ「事例から読み解く地域統括拠点のロケーション戦略」①

2021/03/22
吉田 崇

グローバル展開をする日本企業が、東南アジア諸国連合(ASEAN)エリアに地域統括拠点を設置することは、迅速かつ効果的な事業運営を実現する上で、既に当然の施策となっている。そこで本連載では、3回にわたり事例をもとに地域統括拠点のロケーション戦略を読み解いていく。連載1回目となる本稿では、製造業の統括拠点として好まれるタイについて論じる。

グローバル展開を進める日本企業にとって、東南アジア諸国連合(ASEAN)や中国、欧州など本社から目が届きにくい一定のエリアに本社機能を一部移管する、いわゆる地域統括拠点を設置することは、いまや迅速かつ効果的な事業運営を実現する上で、ごく当たり前の施策となっている。海外子会社数や進出国数の増加、海外事業の比重増大に比例して、本社の限られたリソースで遠方の海外まで十分にコントロールすることが困難になっていくことはいうまでもない。今後も地域統括拠点を活用して現場近くに本社機能を移管しようとするトレンドは継続し、大企業だけでなく、中堅企業にとっても検討すべき経営課題となるだろう。
一方で、「どこに地域統括拠点を置くべきか」という基本的な問いは、多くの企業を悩ませる古くて新しい問題でもある。特に最近では、既に設置した統括拠点の他国への移転や、統括機能を複数国に分散させるような動きも見られることから、地域統括拠点のロケーションとして絶対的に有利な国や地域が存在するとはいえないようだ。この問題になかなか明快な解が出ない理由のひとつは、多くの場合、検討のための材料が各国の法制度に関する情報、特に税制優遇に偏っているからと考えられる。
たとえばASEAN地域において、統括拠点を誘致したい国のほとんどは、それなりの優遇制度を設けている。一方、企業側は、地域統括拠点をシンガポールにすべきか、それともタイなのか、マレーシアなのかと比較検討する際に、どうしても制度面への視点が主になりがちである。しかし、誤解を恐れずにいえば、税制優遇は統括拠点の付随的なメリットでしかない。本質的なポイントは、グループとして統括機能を最大限に発揮するためには、どこに統括拠点を置くべきか、ということである。そこでは各国の誘致政策よりも、むしろ業種や事業展開の状況、行使したい統括機能などが重要なファクターとなるはずである。従って、本連載では、制度面の解説は必要最小限にとどめ、なるべく事例をもとに、地域統括拠点のロケーション戦略を読み解くことを狙いとする。

(続きは全文紹介をご覧ください)

グローバルコンサルティング部
マネージャー
吉田 崇

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