生物多様性・自然資源管理

生物多様性
自然資源
サステナビリティ

概要

私たちの生活や社会、経済活動は、豊かな生物多様性を育む健全な生態系と、そこからもたらされる自然資源によって支えられています。自然資源の保全・管理と持続可能な利用は、環境・社会・経済のあらゆる面での“サステナビリティ”と人間にとっての“ウェルビーイング”の欠かせない基礎であるといえます。
当社は、総合シンクタンクとして長年にわたり、環境政策領域の柱のひとつとして自然資源管理に注力しています。自然資源に関し自然科学と人文・社会科学の幅広い専門性を持つ研究員、コンサルタントを擁し、常に最新の国内外情勢・動向を注視しながら、公共政策の形成・実行・評価・見直し、地域社会や産業界への社会実装など幅広く対応することが可能です。

当社の強み

わが国の豊かな生物多様性を保全し、自然共生社会を実現するためには、各地域が有する貴重な自然生態系の保全と活用を進めること、生物多様性への依存と影響を考慮した持続可能な生産・消費を実現することの両面が重要です。
当社は、生物多様性に関わる国、地方自治体、企業・業界団体、研究機関、NPO・NGOなどの多様な主体と連携し、生物多様性の保全のみならず、気候変動やESGファイナンス等の関連分野の知見を組み合わせ、幅広い視点から政策・戦略・制度の立案・設計・実行、対応策・対策技術の検討、普及啓発などに取り組んでいます。生物多様性を活かした豊かな地域づくりに関する支援、生物多様性・生態系サービスの経済価値評価や民間参画(企業の取り組み)の推進、サプライチェーンにおける生物多様性配慮および情報開示の方策検討を実施しています。

自然生態系の保全と活用

豊かな生物多様性を育む健全な自然生態系の保全に向けて、世界では陸地と海洋のそれぞれ30%を保護することを目指す、通称「30 by 30」が目標として掲げられています。同目標の達成に向けて、既存の国立公園等に加え、社寺林、社有林、企業緑地、里地里山など、従来の保護地域以外の保全の重要性が増しています。また、自然生態系を将来世代に引き継いでいくためには、自然生態系を持続可能な範囲で活用し、地域資源として有効利用することも必要です。
当社は、生物多様性・自然資源管理に関する政策・戦略・制度の設計・実行・評価、対応策の検討、普及啓発に加え、地方自治体における生物多様性地域戦略の立案を含めた、生物多様性を活かした地域づくり・地域コミュニケーションの支援にも取り組んでいます。

生物多様性と経済活動

生物多様性の持続可能な利用を実現するため、あらゆる社会経済活動の中に生物多様性への配慮を組み込む「主流化」が求められています。また、サステナブルファイナンスの分野では、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が発足し、企業活動の非財務側面への着目のひとつとして、自然資本に関連した財務影響への開示が促されています。
当社は、生物多様性の主流化に向けて、生物多様性・生態系サービスの経済価値評価や民間参画(企業の取組)の推進、企業の事業活動・サプライチェーンにおける生物多様性配慮及び情報開示の方策、企業と農林漁業者や地域活動団体などとの連携、認証制度などを通じた消費者の行動転換などの調査・検討、普及啓発・コミュニケーション活動を通じて、企業や農林漁業者、消費者などの生物多様性に関する取り組みを後押ししています。

生物多様性と気候変動

世界的に深刻化している生物多様性の劣化は、同じく地球規模の環境問題である気候変動とは別個の課題として捉えられてきましが、近年両者を統合的に考慮すべきという考え方(The Climate-Nature Nexus)が広まりつつあります。気候変動対策には、温室効果ガスの排出を抑える緩和策と、気候変動による温度上昇や、それに伴う集中豪雨、洪水の頻発の悪影響を軽減する適応策がありますが、生物多様性はその両方に貢献します。一方で、主要な緩和策である再生可能エネルギーの推進は生物多様性に悪影響を及ぼす可能性があるほか、生物多様性保全策が温室効果ガスの排出量を増加させる可能性も指摘されており、両者の間にはトレードオフが存在する場合もあります。
当社は、気候変動分野の実績を多数有しており、気候変動対策の観点からも適切な生物多様性の保全・活用に関する検討に取り組んでいます。

遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する制度設計・実行・普及啓発

「遺伝資源の取得の機会(アクセス)とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)」は、学術界や産業界の科学技術研究開発に深く関わっています。2014年に名古屋議定書が発効し、日本も2017年に締結、国内措置として「ABS指針」が施行されました。諸外国のABS法規制の整備・運用の進展を注視しながら、ABSの具体的実践方策を模索するとともに、名古屋議定書の国際的・国内的実施の蓄積から有効性を評価していくことが課題となっています。また、国際交渉では塩基配列などの情報の取り扱いに関する議論が進められています。
当社は、20年以上に及ぶ国内外の議論や動向を継続的に注視し、名古屋議定書の締結準備及び国内制度設計・実施・見直しや国際交渉に向けた支援、企業や研究機関などのABSへの対応策や諸外国の法規制などの情報提供、普及啓発などに取り組んでいます。

ABSに基づく遺伝資源の研究開発・商業化に向けた支援

海外の遺伝資源を用いて研究や製品開発を行う際には、提供国政府の法規制にしたがって、必要であれば遺伝資源取得・利用のための許認可などをとり、取得・利用や利益配分の条件について契約を結ぶことが求められます。一方で、提供国の法規制整備状況は、その水準や内容がまちまちで、場合によってはどこに確認すればよいかわからない国もあり、許認可の取得や契約交渉も容易ではありません。
当社は、遺伝資源の研究開発・商業化を希望する企業・研究機関などに対し、遺伝資源の取得・利用のための法規制調査や許認可取得、契約締結に向けたサポートを行っています。また、国際機関、開発援助機関などと連携して提供国に対する能力開発の実施など提供国政府に対するサポートや国際共同研究開発に向けた環境整備にも取り組んでいます。

外来種・鳥獣被害対策の調査・検討、利用方策の検討、普及啓発

近年、全国的にシカ、イノシシなどの生息数が増加し、森林や生態系への被害のみならず農業被害が深刻化しています。この問題は人口の減少や耕作放棄地の増加など、社会経済的な状況とも関わっており、適切な管理には野生鳥獣の有効活用も求められます。侵略的外来種も、在来生態系に被害を与えているほか、農業被害や健康被害を引き起こしており、その対応には早期発見の体制構築に加えて、外来種それぞれの性質に応じた効率的・効果的な防除対策が求められます。
当社は、社会経済的側面に着目しながら、侵略的外来種や鳥獣による被害実態及び対策・防除の取り組みにおける課題の把握に基づいて、対応策・対策技術の検討や早期発見及び普及啓発に向けた情報・ツールの検討、情報共有の支援などに取り組んでいます。また、効果的な有効利用方策や社会経済的な仕組みの検討も行っています。

自然資源管理に関する法制度・条約、社会システム

自然資源と私たちの生活や社会、経済活動は相互に影響しあう緊密な関係にあります。自然資源の保全・管理と持続可能な利用を実現するには、社会経済の構造変化、科学技術の進展・高度化、ライフスタイルの多様化など、常に変化し続ける現代社会で、ますます複雑化・複合化する環境・社会・経済課題とその基盤にある社会経済的・文化的土壌への的確な認識・理解に根差した法制度や社会システムの構想・再構築が求められます。
当社は、法制度調査、判例研究、比較法学分析、施行・運用実態分析、法社会学・政策法学分析など様々なアプローチを駆使し、自然資源管理に関する法制度・条約、社会システムに関する調査研究、制度設計・実行・評価・見直し、環境条約の国内実施、普及啓発・コミュニケーションなどの支援に取り組んでいます。

実績のご紹介(一例)

  • 令和3年度筆ポリゴンの高度利用に向けた調査業務(生態系サービス可視化プロジェクト)(農林水産省)
  • 令和3年度地域循環共生圏構築に向けた里地里山の取組に係るガイドライン作成調査検討業務(環境省)
  • 令和3年度里海を通じた地域資源の保護・利活用促進プロモーション実施等業務(環境省)
  • 令和3年度名古屋議定書の国内実施に係る調査・分析委託業務令和3年度環境保護に関する南極条約議定書附属書Ⅵに係る国内対応調査検討委託業務(環境省)
  • 令和3年度自然環境保全基礎調査成果の活用実態等の収集・整理等業務(環境省)
  • 令和3年度皮革産業振興対策調査等(我が国皮革関連産業の持続的発展及び競争力強化に向けた調査)(経済産業省)
  • 令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(国内繊維産業における責任あるサプライチェーン管理に関する実態調査)(経済産業省)
  • 令和2年度経済社会における生物多様性の主流化の促進に関する調査・検討委託業務(環境省)
  • 令和2年度ポスト2020生物多様性枠組における指標分析等業務(環境省)
  • 令和2年度名古屋議定書の国内実施に係る調査・分析委託業務(環境省)
  • 令和2年度環境経済の政策研究(ABS指針の見直しに向けた提供国措置の便益・コスト等の評価に関する研究)(環境省・慶應義塾大学)
  • 令和2年度地域循環共生圏構築に向けた優良な里地里山の取組に係る調査検討業務(環境省)
  • 令和2年度我が国遊漁資源管理政策の転換プロジェクト委託調査事業(水産庁)
  • 令和2年度環境保護に関する南極条約議定書附属書Ⅵに係る国内対応調査検討委託業務(環境省)
  • 令和元年度経済社会における生物多様性の主流化の促進に関する調査・検討委託業務(環境省)
  • 令和元年度生物多様性に関する企業情報の開示状況調査委託業務(環境省)
  • 釣り(遊漁)と漁業の共存及び資源管理の推進に関する政策的検討に係る委託調査事業(水産庁)
  • 令和元年度皮革産業振興対策調査等(海外主要国における皮革関連産業のサステナビリティ活動等の動向・対応調査)(経済産業省)
  • 令和元年度名古屋議定書の国内実施に係る調査・分析委託業務(環境省)
  • 平成31年度環境経済の政策研究(「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」(ABS 指針)の見直しに向けた、提供国措置の便益・コスト等の評価に関する研究)(環境省・慶應義塾大学)
  • 環境と観光の両立のための持続可能な観光客受入手法に関する調査業務(国土交通省)
  • 平成30年度皮革関連産業振興対策調査等(皮革関連産業振興対策事業のフォローアップ・評価及び我が国皮革関連産業の国際競争力強化に関する調査)(経済産業省)
  • 平成30年度環境経済の政策研究(「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」(ABS 指針)の見直しに向けた、提供国措置の便益・コスト等の評価に関する研究)(環境省・慶應義塾大学)
  • 平成30年度生態系を活用した防災・減災及びグリーンインフラの社会実装に関する調査検討業務(環境省)
  • 海運業界の環境広報・コミュニケーション コンサルティング業務(後期)(団体)

エキスパート

境 翔悟
政策研究事業本部
持続社会部 農山漁村振興グループ
研究員
境 翔悟
薗 巳晴
政策研究事業本部
持続社会部 自然環境・食料農業グループ
グループ長 主任研究員
薗 巳晴
沼田 壮人
政策研究事業本部
研究開発第2部(大阪) 地域政策研究グループ
グループ長 主任研究員
沼田 壮人
森口 洋充
政策研究事業本部
持続社会部 自然環境・食料農業グループ
主任研究員
森口 洋充
矢野 雅人
政策研究事業本部
環境・自然ユニット
ユニット長 上席主任研究員
矢野 雅人