【今月の景気判断】

景気は緩やかに持ち直している。内需においては、雇用が改善し、名目賃金が増加する中で、食料品を中心とした物価高によって家計の節約志向が高まっており、個人消費は横ばい圏で推移している。これに対して企業部門では、景況感の回復傾向に一服感がみられるが、良好な業績を反映して企業の設備投資意欲は底堅く、価格高によるマイナスの影響や人手不足による供給制約がある中でも緩やかに持ち直している。外需においては、インバウンド需要は増加基調にあるうえ、米国を中心に海外経済は持ち直しつつあるが、輸出は横ばいとなっている。こうした動きを受けて、生産は横ばいで推移している。

今後も景気は緩やかな持ち直しが続く見込みである。個人消費は、物価高への懸念は根強いが、名目賃金の増加が続き、物価上昇圧力が徐々に落ち着いてくることに合わせて消費者マインドも徐々に改善してくるため、緩やかな持ち直しの動きが続こう。さらに、企業の設備投資は、投資意欲が底堅く、今後も持ち直しが続き、景気を下支えすると期待される。輸出も、自動車生産の回復や世界的な半導体需要増加を背景に持ち直していこう。また、日本銀行の利上げ後も金利上昇は小幅にとどまっており、実体経済への影響は軽微である。ただし、トランプ大統領による関税政策の行方、米中の貿易摩擦が再燃する懸念、地政学リスクの高まりなど、海外を中心に景気に対する不確定要素が多いうえ、①物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化によって個人消費が落ち込む、②人手不足による供給制約に直面する、などのマイナス要因も多く、これまで以上に景気が下振れするリスクへの目配りが必要である。

【今月の景気予報】

今月の景気予報2025年4月

【当面の注目材料】

個人消費～2025年春闘の行方と実質賃金の動向、物価高に対する消費者マインドの動き
企業部門～コスト高の業績・設備投資への影響、人手不足・賃上げへの対応
海外経済～トランプ大統領の政策と世界経済の先行き、米国の利下げ動向、米景気のスタグフレーションのリスク
その他～米国の関税引き上げ政策のインパクト、金利、為替など金融市場の動向と実体経済への影響

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グラフで見る景気予報 (2025年4月)

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