【今月の景気判断】

物価上昇や海外経済の減速による下振れが懸念されているが、新型コロナウイルスの感染による景気へのマイナス効果が剥落する中で、景気は緩やかに持ち直している。内需においては、雇用が緩やかに改善し、賃金の増加ペースが高まる中で、個人消費は外食や宿泊サービスなど対面型サービスへの支出は堅調に増加しているが、物価高の影響で財への支出が弱く、全体としては持ち直しが一服している。一方、企業部門では、交易条件悪化による利益率低下の影響が薄らぎつつあることを背景に企業利益の増加が続き、景況感は持ち直している。もっとも、企業の設備投資意欲が底堅い中にあって、設備投資は横ばい圏で推移している。外需においては、インバウンド需要は順調に回復しており、海外経済の減速の影響により減少していた輸出は緩やかに増加している。こうした内外需の動きを反映して、生産は横ばいとなっている。今後は、コロナ禍の終息・経済社会活動の正常化に向けた動きが加速すると期待され、対面型サービスを中心に個人消費の持ち直しが続こう。また、インバウンド需要の回復、自動車の生産制約の解消進展、春闘の賃上げ率アップを反映した賃金の伸び率拡大、ボーナス支給額の増加も、景気にとってプラス要因となる。さらに、企業の設備投資意欲は底堅く、今後は持ち直し傾向で推移し、景気を下支えすることが期待される。ただし、①金利上昇によって世界経済の減速が加速し、輸出が低迷する、②サービス消費の増加一巡後に、物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化、実質購買力の低下によって個人消費が落ち込む、③コスト高による企業業績の悪化が設備投資を抑制する、④人手不足による供給制約に直面する、といった景気下振れ要因も多く、景気回復テンポが大幅に鈍るリスクは残る。

【今月の景気予報】

今月の景気予報2023年9月

【当面の注目材料】

経済正常化に向けた動き～コロナ禍の終息・経済社会活動の正常化に向けた動きの景気へのプラス効果と持続力
個人消費～物価上昇の影響、リベンジ消費の強さと持続性、春闘・ボーナスを含む賃金動向
企業部門～コスト高の業績・設備投資への影響、人手不足への対応、グローバルサプライチェーン停滞のリスク

（続きは全文紹介をご覧ください。）

景気ウォッチャー調査（東海地区:2023年10月）

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