未来の教室で必要とされる新しい教え方と、それを実現する教員の継続的専門能力開発(CPD)とは~コーチング手法を一例に、継続的専門能力開発を見る。 世界初の専門職団体から見えてきたものとは~

2020/05/01 鈴庄 美苗、淺田 陽子
教育

Society5.0を見据え、新しい学び方・教え方が広がりつつある時代。そしてCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響を受け、新しい学び方・教え方への変革は一層加速度を増しそうだ。そのような時代潮流を捉え、新たな教え方「コーチング」という手法を一例に、日本における教員の継続的専門能力開発を取り巻く課題と、継続的専門能力開発の必要性について論じる。

■はじめに

(1)新しい学び方・教え方の必要性の高まり―COVID-19の影響を受け一層加速―

2019年6月、文部科学省から「新時代の学びを支える先端技術のフル活用にむけて~柴山・学びの革新プラン~」(以下本稿では「革新プラン」とする。)が発表された。この中では、2020年4月から順次開始する新学習指導要領の着実な実施と、チームとしての学校運営によって、先端技術を活用したICT基盤のもと新たな学びの環境(自ら問題を見いだし、その解決に向けて主体的・協働的に学ぶ環境)が実現することを目指している。このことは今般のCOVID-19に関する緊急事態宣言の発令を受け、新たな学びの実現・提供の必要性が急速に高まると見込まれる。
革新プランで描かれる次世代の学校を実現するためには、先端技術の開発を模索するだけでなく新たな学びを提供できる教員のスキルも同様に改善する必要があることは自明であるが、新たな学びの実現に向け生徒に何を教えるべきかという議論はあるものの(新学習指導要領等)、どのような指導方法で教えるべきか、さらに、その指導方法の実現のために教員にどういったスキルが必要かといった議論は必ずしも十分とは言えないと考える。このことは、既往文献でも、「多様化・複雑化する教育ニーズに応答する高度な専門性が教員に対して求められているにも関わらず,教員の専門性の向上に必要な時間と機会とを確保する具体的な施策は十分な形で展開されていない」とし、「特にすでに教育職にある教員の専門性の刷新を図る有効な研修制度の整備と拡充とが急がれる」1としている。・・・(続きは全文紹介をご覧ください。)


1 教育支援機構上席フェロー百合田真樹人「優れた教員の量的確保に向けたわが国の課題と諸外国に於ける施策と根拠」(平成30年度教員の養成・採用・研修の一体改革に資する国際的動向に関する調査研究プロジェクト報告)

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