経済・産業・雇用・労働

コロナ禍の下での大学生等の生活実態と人口移動の動向に関する調査報告

2022/05/26 大塚 敬、永野 恵
人口移動
独自調査

我が国においては、人口の東京一極集中が長期的に続いてきました。この傾向は、大学進学及び就職時の地方圏から東京都への若年層の移住が大きな要因となっています。しかし、新型コロナウイルス感染症により、若年層の東京都への転入数が減少するなど、こうした傾向に変化が生じています。この変化は、感染リスクへの不安に加え、コロナ禍で制限される学生生活への不安・不満といったことも背景にあると考えられます。

そこで、本調査では、全国の専門学校・大学等高等教育機関に通学している人を対象として、現在の学校での授業や生活の状況や卒業時の就職先地域に関する意向、将来の出身地への移住意向などについて把握するとともに、こうした選択が新型コロナウイルス感染症によりどのような影響を受けたかについても詳細に把握しました。

大きく変動する我が国の人口動向に対し、地域振興の戦略づくりに取り組むさまざまな立場の皆様にとって、本調査が効果的な戦略の構築を検討する際に多少なりともご参考となれば幸いです。

調査結果概要

■調査対象:インターネット調査会社の登録モニターのうち、以下に該当する対象者
東京圏を含む全国の専門学校・各種学校、大学・大学院在学中の者2,000サンプル。なお、令和元年度の学校基本調査の上記属性合計数の地域別比率に近似したサンプル数を確保するとともに、男女比が概ね同等となるように調整している。

①回答者属性

  • 回答者属性は、令和2年度の学校基本調査に基づく上記属性(専門学校・各種学校生、大学・大学院生)の合計学生数の地域別比率に可能な限り準じた割付を行い、以下の通りとなった。
  • 性別は男性47.1%、女性53.0%で、社会的立場は「大学(学部)・短期大学在学中」が85.3%、「専門学校・各種学校在学中」が7.3%、「大学院在学中」が7.5%である。
  • 居住地は37.9%が東京圏、62.1%が地方圏である。大学等の通学先所在地は、東京都特別区が18.2%、東京都下市区町村が11.4%、東京以外の東京圏(神奈川県、千葉県、埼玉県)が9.7%、地方圏が60.7%である。

②学生生活について

~授業・課外活動・就職活動いずれもリモート(オンライン)活用が中心の一方、学生の中では対面志向も高まる~

  • 一部でもリモート(オンライン)を活用している割合は、「座学授業」で63.7%、「発表やグループワーク等を伴う授業・ゼミなど」と「考査・試験」で49.2%、「卒業論文・修士論文・博士論文などの指導」で32.0%であり、大学・大学院生とも東京圏において割合が高い。
  • 課外活動では、「完全に対面」よりもリモート(オンライン)活用をする割合の方が高く、就職活動についても、リモート(オンライン)活用が中心となっている。
  • 一方で、今後の学生生活に関する意向としては、授業等・課外活動ともに対面志向の割合がリモート志向の割合を上回っている。
  • 学生生活への満足度としては、全体では56.5%が満足と回答するものの、専門学校・各種学校生においては5割を下回っている。
  • コロナ禍の学生生活で不安に感じることとしては、友人作りや人的ネットワークづくりに関する不安が大きい。

③進路選択について

~オンライン化を背景として、進路先と異なる地域への居住の希望や、コロナ禍以前からの進路の変更など、学生の進路選択にコロナ禍の影響が表れている~

  • 東京圏出身者は東京圏、地方園出身者は地方圏の進路の希望が多い。
  • オンライン化を背景として、進路希望先と異なる地域に居住することを希望する人が地方圏居住希望者で9.6%、東京圏居住希望者で6.4%、計16.0%を占めている。
  • 東京圏の進路先を希望する理由は「働く環境として東京圏に魅力を感じているから」が最も高く30.7%、次いで「希望する条件に合致する進学先は東京圏にしかないから」が29.1%である
  • 約2割の人が新型コロナウイルス感染症による進路選択への影響があったとしており、東京圏から地方圏に進路を変更した人は47.7%、地方圏から東京圏に進路を変更した人は34.3%である。
  • 地方圏出身者では「地方圏で進学・就職し、地方圏でずっと暮らしたい」が最も多く、東京圏出身者では「東京圏で就職し、東京圏でずっと暮らしたい」が最も多い。

④通学先と居住地の関係へのコロナ禍の影響(地方圏出身の東京都特別区内の大学通学者)

~学生の3人に1人が、今後もオンライン授業なら地方圏から通学する意向~

  • コロナ禍発生後に転居したと思われる人は約3割を占める。このうち、東京圏の大学から遠ざかる方向に転居した人が56.5%、大学に近づく方向に転居した人が47.8%、また、授業のオンライン化や感染不安などコロナ禍が要因となっている転居が47.8%を占めている。
  • 3人に1人が、今後も授業がオンラインなら地方圏から通学するとしている。

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