IPランドスケープ

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IPランドスケープとは、IP(Intellectual Property:知的財産)とLandscape(風景、環境、見通し)を組み合わせた造語であり、知的財産情報を分析してその結果を経営戦略の策定や企業の意思決定に活用することのほか、知的財産を重視した経営そのものを指して用いられる。

「知財人材スキル標準(version 2.0)」(2017年、特許庁)のなかでIPランドスケープという言葉が使われたことを背景に、日本企業においても徐々に広がりはじめ、「経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究」(2021年、特許庁)では、IPランドスケープを「経営戦略又は事業戦略の立案に際し、(1)経営・事業情報に知財情報を取り込んだ分析を実施し、(2)その結果(現状の俯瞰・将来展望等)を経営者・事業責任者と共有すること」と定義している。

2021年のコーポレートガバナンス・コードの改訂版には知的財産に関する項目が盛り込まれ、上場企業は積極的に知的財産への投資や事業への活用を促し、それを投資家に情報開示していくことが求められており、企業において知的財産の活用は非常に重要な位置づけとなっている。
IPランドスケープは知財を活用した経営戦略構築のための特許を中心としたツールであるが、今後はこのほかに、特許以外の観点からも知財をマッピングし、企業価値向上へとつなげる経営戦略の構築と、いかに投資家と対話するかということが求められる。

(鈴木 一範)