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【取締役会スキルマトリックス】最新開示状況調査から読み解く作成・開示のポイント(2)

スキル項目設定の傾向

2021/11/24
寺田 京平

本シリーズの第1回「スキルマトリックス開示状況の実態」(2021年11月8日掲載)では、当社にて実施した「日本企業におけるスキルマトリックスの最新開示状況に関する調査」(※)の結果を紹介しました。本稿では、同マトリックスに掲載する「スキル項目設定の傾向」をテーマに解説します。

※本調査は2021年8月中旬から9月上旬にかけて実施。株式時価総額上位100社(2021年4月1日時点)および日経225銘柄企業のうち、最新の株主総会招集通知でスキルマトリックスを開示した107社について、「開示対象者」「スキル項目」「スキルの表示(『○』等)を付す際の判定方法」を集計した。

一般的なスキル項目

取締役会の基本的な役割である、適切な意思決定や監督機能を担保したマトリックスを作成するためには、「経営に関する一般的な知識・スキル」をスキル項目に加えることが求められます。今回の調査結果でも、95%の企業が「財務・会計」を、90%超が「企業経営」の観点をスキル項目として選定していました。また、40%の企業では「環境・社会」をスキル項目に盛り込んでおり、持続的成長に向けた企業の役割が重視される中、企業経営でもこれらの課題は当然取り組むべきものとなっている現状が見て取れます。

(図)各スキル項目の選定状況

経営に関する一般的な知識・スキル (例) 経営課題・事業特性を踏まえたスキル
企業経営 経理・財務 ガバナンス 環境・社会 組織・人事
90% 95% 40% 40% 35% 60%

(※上記107社の開示例に基づく概算値)
(出所)「日本企業におけるスキルマトリックスの最新開示状況に関する調査」より当社作成

自社の経営課題や事業特性を踏まえたスキル項目

上記のような一般的なスキルに加えて、個社別の経営課題や事業特性との適合性を踏まえたスキル項目を設定することも重要です。今回の調査結果でも、60%の企業は自社や事業の課題・特性に根差したスキル項目を設定していました。具体的には、「企業経営」というカテゴリを更に具体化したり、当面の重点方針を反映したりする等のケースがあります。

一方、上記のスキル項目設定の状況について逆の見方をすると、「40%の企業のスキルマトリックスの構成が、経営に関する一般的な項目のみにとどまっている」とも言えます。本調査では、スキル項目が一般的なスキルの羅列にとどまり、企業としての重点部分が不明瞭なケースが複数見られました。また、スキル項目が会社の経営において求められる能力ではなく、各取締役の「バックグラウンドの一覧」と受け取られかねない事例も確認されています。作成したマトリックスが「どの企業にも適用できる内容」のみになっていないか、注意が必要です。

目指す姿と現状とのギャップ解消の重要性

以上のことから、スキル項目を選定する際は、一般的なスキル項目を必要な範囲で設定しつつ、同時に個社別の特徴も備えることが、望ましい方法と考えられます。一方、スキルマトリックス策定の主たる目的は、取締役会の経営における意思決定や監督機能が適切である旨を株主・投資家等に示すことにあります。企業が将来目指すべき姿を踏まえて、取締役会のメンバーが備えるべきスキルセットを明らかにしたうえで、後継者候補を選抜・重点育成すること、または社外からの採用を推進することが重要です。このような自社の考え方や取組みを株主総会の資料等をはじめとした各種媒体で正しく伝えるために、第3回では各スキル項目の定義及び判断に関する留意点について、役員人材マネジメントと一体化して検討することの重要性に触れながら解説します。

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寺田 京平

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