RCEPにおける日本の輸入の関税削減効果~対中国、韓国では繊維・衣類等、化学製品で関税削減が進む~

2021/12/21 中田 一良
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  • ASEAN加盟10か国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15か国が参加する経済連携協定(Economic Partnership Agreement、EPA)である、地域的な包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership、RCEP)は、2022年1月1日に、日本、中国、オーストラリア、シンガポールなど10か国の間で発効し、2月1日には韓国との間でも発効することになっている。RCEPの発効により、日本は中国、韓国と初めてEPAを締結することになり、関税削減が実施される。
  • 中国、韓国からの輸入額の合計は日本の輸入額全体の約3割を占める。中国からの輸入では、機械類を中心に約7割が無税(暫定税率で無税のものを含む)である一方、繊維・衣類等、食料品、化学製品などで関税がかかっている。韓国からの輸入でも機械類を中心に約7割が無税(同上)である一方、鉱物性生産品、食料品、化学製品などで関税がかかっている。
  • RCEPにおける日本の関税撤廃率(品目数ベース)は、相手国によって異なる。中国に対しては86%、韓国に対しては81%であり、他のRCEP参加国よりも低い水準となっている。中国、韓国に対する関税撤廃率を品目別にみると、農林水産品ではそれぞれ56%、49%と低い水準にとどまる。他方、鉱工業製品はそれぞれ98%、93%となっており、具体的には、化学製品、繊維・衣類等を中心に関税を撤廃する。関税撤廃の時期は、化学製品では発効時のものがある一方、繊維・衣類等は11年目のものが多くなっている。
  • 日本の中国、韓国に対する関税撤廃率(金額ベース)を、2019年の輸入額に基づいて試算すると、中国に対しては93.8%、韓国に対しては82.8%となり、最終的には関税撤廃が進むことになる。ただし、発効時には、化学製品などで関税が撤廃される品目があるものの、全体としては限定的と言える。
  • 中国、韓国からの輸入に対する関税削減額を2019年の輸入額に基づいて試算すると、発効時は大きくないものの、段階的な関税削減により徐々に拡大し、最終的には最大で約3200億円となる。内訳をみると、中国からの輸入では繊維・衣類等、韓国からの輸入では化学製品を中心に関税が削減されると試算される。

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