2021年夏期 東海3県主要集客施設・集客実態調査~新型コロナ感染の拡大兆候やレジャー自粛の風潮も、約6割の施設で対前年比増加 お盆期間中の天候不良は屋外型施設に打撃~

2021/10/28 内田 克哉、加藤 千晶
東海
独自調査

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:池田 雅一)は、「2021年夏期 東海3県主要集客施設・集客実態調査」〔東海地方の主要集客施設90施設を対象としたアンケート調査(2021年9月)〕を実施し、有効回答を得た85施設の夏期(7月21日~8月31日の42日間)の集客実態を分析しました。

なお、今年の夏休みは、新型コロナウイルス感染症流行(以下、新型コロナ)の影響で夏休み期間短縮の動きがありましたが、昨年との比較のため、調査対象期間は例年の夏休みと同様(7月21日~8月31日の42日間)としております。

【結果概要】
●約6割の施設で集客数増加も、依然新型コロナが集客に悪影響

今夏は全79施設(対前年比が分かるもの)のうち約6割(64.6%)の51施設で集客数が前年を上回る結果となった。
ただし、今夏も前年に引き続き新型コロナが拡大し(注1)、「新型コロナ拡大の兆候」は、約9割(90.2%)の施設に悪影響を及ぼした。また、「新型コロナによるレジャー自粛の風潮」、「新型コロナによる県をまたぐ移動の自粛」、「新型コロナによる団体旅行の減少」も前年に引き続き集客にマイナスの影響をもたらしており、それぞれ約8割(順に84.3%、83.8%、77.1%)の施設に悪影響を及ぼす結果となった。
一方、「自治体等による観光キャンペーン」や「ワクチン接種の進行」はそれぞれ約3割(順に25.4%、25.0%)の施設で好影響となった。

●前年打撃を受けた屋内型施設は回復傾向。お盆期間中の天候不良は特に屋外型施設へ悪影響。

施設種別ごとの対前年比の状況を見ると、屋内型施設では全19施設中16施設(84.2%)で対前年比増となった。前年は新型コロナの影響で屋内型施設の閉鎖が相次ぎ、また、人々が密を避けて屋外型施設を選択した傾向にあったが、今夏は各施設での感染対策を意識した対応や人々の感染対策の定着もあり、集客が回復した。一方、屋外型施設では、対前年比増は全22施設中9施設(40.9%)に留まり、お盆期間中の天候不良が影響したと思われる(注2)。また、屋内・屋外複合型施設では全38施設中26施設(68.4%)が対前年比増となった。

■各施設の集客数の状況

・集客数は、「ナガシマリゾート」(三重県桑名市)の約139万人が15年連続トップ。次いで「刈谷ハイウェイオアシス」(愛知県刈谷市)が約70万人、「河川環境楽園」(岐阜県各務原市)が約60万人、「ラグーナテンボス」(愛知県蒲郡市)が約36万人、「中部国際空港セントレア」(愛知県常滑市)が約31万人と続く。

・集客数上位5施設はいずれも対前年比増となった。特に「河川環境楽園」(岐阜県各務原市)では、お盆期間中の天候不良や一部施設の休業等が悪影響となったものの、水遊び場の利用制限解除や、夜間の水遊び場の開放(キッズナイトプール)が奏功し、対前年比19.9%増となり、集客数上位5施設の中で最も増加率が高かった。

■増加率上位施設の動向

・増加率1位の「幸田町民プール」(愛知県幸田町)は、休業期間があった前年と比べ大幅な増加となった。

・増加率2位の「愛知県美術館」(愛知県名古屋市)は、前年は新型コロナ拡大により企画展が開催されなかったが、今年は前年から延期となった「ジブリの大博覧会」が開催され、集客を大きく伸ばした。

・増加率3位の「でんきの科学館」(愛知県名古屋市)、4位の「名古屋市科学館」(愛知県名古屋市)は、前年は今年よりも営業範囲を縮小(休業、営業時間短縮等)していたことが影響し、対前年比で大幅増となった。

・増加率5位の「名古屋市国際展示場」(愛知県名古屋市)は、依然としてイベントの開催制限の影響を大きく受けているものの、前年と比較すると催事開催が増加したことから、対前年比増となった。

■来訪者の動向

・新型コロナ下では、感染対策や営業情報に関する情報発信の重要性も高まっており、約6割(62.7%)の施設で「SNSでの情報発信」が集客に好影響をもたらしたと回答した。また、前年と比べ、約6割(58.5%)の施設でSNSでの口コミを見た来場者が増加しており、新型コロナ前(2019年夏期)と比較しても約5割(51.2%)の施設が増加したと回答した。

・客層の変化をみると、前年(2020年夏期)と比較し、「ファミリー」、「地元客」、「3世代家族」をはじめとする多くの層で「増加」が「減少」を上回った。ただし、「他県からの来訪者」、「ビジネス客の立ち寄り」、「女性グループ(シニア)」については「減少」が「増加」を上回る結果となった。

・「他県からの来訪者」は、新型コロナ前(2019年夏期)と比較すると、約9割(88.3%)の施設が減少したと回答した。前年(2020年夏期)との比較でも約5割(45.8%)の施設で減少しており、新型コロナによる県をまたいだ移動自粛が影響している。

・「3世代家族」は、新型コロナ前(2019年夏期)と比較して8割(80.0%)の施設で減少したが、前年(2020年夏期)との比較では、減少した施設は約2割(20.7%)に留まり、増加が減少を上回った。今年は高齢者等を中心に先行してワクチン接種が進んだことが、高齢者層を含む3世代家族の動向に変化をもたらしたと考えられる。

続きは全文紹介をご覧ください。


注1 前年は7月22日よりGo Toトラベルキャンペーンが開始されたものの、愛知県では新型コロナ拡大を受け8月6日~8月24日に愛知県独自の緊急事態宣言を発出。今夏は、ワクチン接種が開始されたものの、感染者数が拡大し、愛知県では8月8日~8月26日、岐阜県および三重県では8月20日~8月26日にまん延防止等重点措置、さらに、8月27日~9月30日には愛知県、岐阜県、三重県に緊急事態宣言が発出された。

注2 「お盆期間中の天候不良」は約8割(77.8%)の施設が「悪影響」と回答。

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