2021年度東海3県主要集客施設・集客実態調査~入場制限やイベント開催要件の緩和等により約9割の施設で対20年度比集客数増加 屋外の身近な公園施設では新型コロナ流行前を上回る施設も~

2022/05/26 加藤 千晶、内田 克哉
東海
サービス業
独自調査

本調査は、東海3県(愛知県、岐阜県、三重県)の主な集客施設における2021年度(21年4月~22年3月)の集客実態を把握するため、22年4月~5月にかけて各施設に対してアンケート調査を実施したもので、74施設から回答を得た。

なお、今年度の調査では、新型コロナウイルス感染症流行(以下、新型コロナ)前との状況比較のため、2019年度、2020年度、2021年度の3ヵ年度分の集客状況を掲載している。

新型コロナ防止のための「新型コロナウイルス対策の特別措置法」は2019年度(20年3月)に成立したが、本調査では1回目の緊急事態宣言の発出(20年4月)前の2019年度を「新型コロナ前」と設定した。

【結果概要】

各施設の集客数の状況

  • 「ナガシマリゾート」(三重県桑名市)が、1,062万人*と16年連続でトップ。入場制限やイベント開催要件等の緩和および各人への新型コロナ対策の浸透等が好影響となり、対20年度比で集客数は6.5%増となったものの、新型コロナによる人々の活動自粛等が引き続き影響し、対19年度比で集客数は31.5%減と、新型コロナ前の水準には戻っていない。
    *「ナガシマリゾート」は年度値(21年4月~22年3月)ではなく、年間値(21年1月~12月)
  • 2位は「刈谷ハイウェイオアシス」(愛知県刈谷市)で、約635万人。修学旅行の従来行程の再開や、アウトドアレジャーへの関心の高まり、国・自治体等による観光キャンペーンが好影響となり、対20年度比で19.7%増となった。ただし、新型コロナによる県をまたぐ移動の自粛や団体旅行の減少等は20年度に引き続き集客に悪影響をもたらしており、対19年度比では21.6%減となった。
  • 3位は約363万人の「河川環境楽園」(岐阜県各務原市)で、近隣学校の社会見学や野外学習の行き先変更により新規利用が増加したことや、コロナ第5波沈静化により秋季に外出ムードが高まったこと等が好影響となり、対20年度比で27.0%増となった。一方で、自治体のコロナ対策にもとづくイベント等の中止や、一部施設の休館、およびお盆期間中の天候不良が屋外型施設である同施設に影響しており、対19年度比では21.6%減となった。
  • 4位は約273万人の「中部国際空港セントレア」(愛知県常滑市)で、複合商業施設「フライト・オブ・ドリームズ」1階のフライトパークのリニューアルオープンや国内旅客回復*に伴う送迎客の増加が好影響をもたらし、対20年度比14.8%増となった。一方、新型コロナによる訪日外国人旅行者の渡航制限や人々の活動自粛、イベントの中止等は集客に悪影響となっており、対19年度比では67.7%減となった。
    *国内旅客数は、対20年度比約39%増。(出所:中部国際空港セントレアウェブサイト「2021年度利用実績」(22年4月25日現在の暫定値))なお、航空旅客数は「中部国際空港セントレア」の集客数の集計対象外である。
  • 5位は約222万人の「JAあぐりタウンげんきの郷」(愛知県大府市)で、新型コロナによる家庭での食事機会の増加は、農産物等の産直品を取り扱う同施設にとって好影響となった。一方で、お盆期間の天候不良や、新型コロナによるバスツアーの減少、レストランの食事会・宴会利用の減少等が悪影響となり、対20年度比で1.3%減と微減した。ただし、対19年度比では8.8%減であり、新型コロナ前と比較した減少率は他施設と比べて抑えられている。

対20年度比および対19年度比の傾向

~対20年度比では約9割の施設で増加、約1割の施設では対19年度比を上回る~

  • 対20年度比では、73施設*中、65施設(89.0%)で増加し、減少した施設は8施設(11.0%)となった。入場人数・イベント開催要件等の制限緩和や人々への新型コロナ対策意識の浸透等が集客数回復に寄与した。
  • 対19年度比では、72施設*中、65施設(90.3%)で減少したものの、7施設(9.7%)は新型コロナ前の水準を上回った。いずれも公園施設であり、新型コロナにより身近な場所で密を避けながら楽しむ傾向が見てとれる。
    *過年度の数値と比較可能な施設
  • 対20年度比の増加率1位は、「名古屋市美術館」(愛知県名古屋市)。20年度は展示替えや建物保全工事に伴う休館、新型コロナ感染拡大防止のための臨時休館等により集客数が落ち込んでいたため、対20年度比で1799.5%増となった。また、22年2月下旬~4月初旬にかけて開催された「ゴッホ展-響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」も集客に好影響となったと思われる。
  • 対20年度比の増加率が比較的高い施設は、美術館・博物館等である。20年度は文化芸術施設への休業要請があったものの、21年度は消毒・換気・検温等の新型コロナ対策や予約性の導入等による入退場の適切な管理等を行った上での開館が認められことが集客数増の要因と考えられる。
  • 「日本中央競馬会 中京競馬場」(愛知県豊明市)や「バンテリンドーム ナゴヤ(旧 ナゴヤドーム)」(愛知県名古屋市)、「名古屋市国際展示場」(愛知県名古屋市)といった、例年大規模催事が開催される施設では、20年度は新型コロナによるイベント開催制限や入場制限が集客減に大きく影響したものの、21年度は制限の緩和があったことが好影響となり、対20年度比は増加した。

集客数への影響要因について

好影響の要因

  • 約7割(73.5%)の施設が「施設からのSNSでの情報発信」は集客に好影響をもたらしたと回答しており、20年度調査結果(63.1%)に比べて割合が高まっている。客層の変化においても、「SNSでの口コミを見た来訪者」が増加したと回答した施設は約7割(68.3%)と、20年度調査結果(46.2%)に比べて割合が高まっており、SNSでの情報発信の重要性とその効果は引き続き増大傾向にある。
  • 約6割(58.5%)の施設が「制限の緩和(入場人数・イベント開催要件等)」が集客に好影響をもたらしたと回答しており、特に、上述の「日本中央競馬会 中京競馬場」(愛知県豊明市)のような例年大規模催事が開催されていた施設の他、「国営木曽三川公園 138タワーパーク」(愛知県一宮市)や「体感!しだみ古墳群ミュージアム」(愛知県名古屋市)等イベントにより集客を行っていた施設の集客増を後押しした。
  • 「国・自治体等による観光キャンペーン」」は約5割(46.7%)の施設で集客に好影響となっている他、「アウトドアレジャーへの関心の高まり」も約5割(45.5%)の施設に好影響をもたらしている。
  • 「各人への新型コロナウイルス対策意識の浸透」や「公共交通機関・レジャー施設等、各地点における新型コロナウイルス対策の浸透」は約4割(それぞれ、42.1%、40.0%)の施設が集客に好影響と回答しており、20年度と比較すると、感染症対策を行いながらレジャーを楽しむ行動の浸透が伺える。

悪影響の要因

  • 20年度に引き続き新型コロナが流行したため、「新型コロナによる施設の営業範囲の縮小」、「先行きが不透明な新型コロナウイルスの感染状況」が共に約9割(85.9%)で悪影響となっている。また「新型コロナによるレジャー自粛の風潮」も約8割(75.7%)の施設に悪影響をもたらし、依然新型コロナによる集客数への影響は大きい。一方で、「新型コロナによる施設の営業範囲の縮小」や「新型コロナによる県をまたぐ移動自粛」、「新型コロナによる密を避けた生活スタイル」等は20年度調査結果と比較*すると悪影響と回答した施設の割合の低下が見られる。
    *回答数は今回調査と異なる。
  • 「新型コロナによる団体旅行の減少」は約9割(85.9%)の施設が集客に悪影響をもたらしたと回答し、20年度の結果(約8割(84.2%))と同水準となっており、依然、団体旅行の減少は集客に悪影響となっている。特に、「蒲郡オレンジパーク」(愛知県蒲郡市)や「松阪農業公園ベルファーム」(三重県松阪市)等これまで団体客の利用も多かった施設に悪影響をもたらした。
  • 約8割(82.1%)の施設が「新型コロナによる県をまたぐ移動自粛」は集客に悪影響となったと回答しており、また、約6割の施設が「地元客」が増加したと回答していることから、20年度に引き続き近場でレジャーを楽しむ傾向が見られる。一方、「他県からの来訪者」については、約4割(42.6%)の施設が減少したと回答しているのに対し、増加したと回答した施設も約4割(37.0%)あり、20年度と比較して21年度は移動範囲の広がりが見てとれる。
  • 「新型コロナによる訪日外国人旅行者の渡航制限」は、約6割(55.2%)の施設で集客に悪影響をもたらした。特に、「名古屋城」(愛知県名古屋市)や「飛騨の里」(岐阜県高山市)、「犬山城」(愛知県犬山市)等、これまで訪日外国人旅行者が集客数に占める割合の高かった施設には影響が長期化している。一方で、国内旅行者を取り込むことで、集客数が増加した施設も見られる。
  • 新型コロナによって修学旅行を中止・延期する学校も多くあり、約5割(52.9%)の施設で「修学旅行の中止・延期」が悪影響となっている。一方、約4割(39.3%)の施設で「修学旅行の再開(従来行程の再開)」が好影響となっており、修学旅行再開の状況も伺える。また、「伊賀流忍者博物館」(三重県伊賀市)等の一部施設では、修学旅行の行き先変更によって新たな利用を取り込んだ。

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