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新たな社会・経済システムとしてのフリーランスエコノミー~地域相互扶助システムの復興へ~ 

2021/12/13
木下 祐輔

未来は“予測するもの”ではなく、“意思を持って創っていくもの”である。この考え方は、新たな社会・経済システムを検討するうえでも重要です。今回は、地域経済の触媒として期待されるフリーランスエコノミーを通じた相互扶助の復興に焦点を当てていきます。

行政サービス・民間サービスの維持が難しくなる中、重要度が増す相互扶助

昨今、インターネット・スマートフォン等の普及により私たちの生活利便性は飛躍的に向上する一方で、“相互扶助”の存在感が薄れ、地縁・血縁によるコミュニティの希薄化が進んでいます。今後、少子高齢化・地域格差等による影響が深刻化し、地域によっては行政サービスや民間サービスの維持が難しくなると言われており、改めて“相互扶助のあり方”や“コミュニティの再構築”が重要になることが見込まれます。

これに対して筆者は、今後成長が見込まれる“フリーランスエコノミー”が地域の相互扶助の触媒になりうると考えます。

地域フリーランスエコノミーへの期待

昨今COVID-19やテレワークを背景に、すきま時間やスキルを活かし他者に貢献する“複業”フリーランスが増加しています。“複業”フリーランスが各種ビジネスモデルや産業に浸透した経済の仕組みをフリーランスエコノミーと言います。フリーランスエコノミーは、企業主体の“集中・大量提供”という形態とは対極的に、“分散・小口提供”が基本となる点が大きな特徴です。例えば日常生活の助け合いを例に挙げると、一つひとつの業務工数は少ないが、個人の要望に合わせたきめ細かい対応が重要となり、企業主体の「集中・大量提供」のスケールメリットが生かしづらい面があります。このような場面で、“複業”フリーランスを活用することが考えられます。

このように、限界を迎えつつある地域の行政サービス・民間サービスを補完しうるものとして、フリーランスエコノミーが未来の地域社会で重要な位置づけを担うと期待されています。

“有償”による地域での相互扶助

地域フリーランスエコノミーの具体的なイメージを下記図表で紹介します。参画するフリーランスが、地域で様々な“有償”サービスを提供することで、地域の相互扶助が活性化するとともに、フリーランスがコミュケーションを媒介することでコミュニティ発展も期待できます。コミュニティ創出を主眼に “無償”を前提に相互扶助を促進する仕組みはこれまでもありましたが、昨今では“複業”の文脈で有償相互扶助の媒介を支援するアプリなどが活用されています。これが普及し、参画する“複業”フリーランス人口が拡大することで、サステナブルな相互扶助の仕組みへ進化することも期待できます。

【図表】地域フリーランスエコノミーを通じた相互扶助・地域貢献の活性化 

図 地域フリーランスエコノミーを通じた相互扶助・地域貢献の活性化

ポスト資本主義社会における“新たな社会・経済システムのたまご”となる可能性

相互扶助における“有償”は、必ずしもお金を対価とする必要はありません。具体例を挙げると、株式会社オウケイウェイヴが主導する「感謝経済」があります。これは、プラットフォーム内でやり取りされる「ありがとうポイント」を通じて相互扶助やコミュニティを活性化させるアイデアです。対価がお金でないことを除けば、ユーザーがプラットフォーム内で相互に価値をやり取りするという文脈で、有償相互扶助を行う他のサービスと共通しています。こういった仕組みが根付けばその結果として、ローカルながら貨幣経済とは異なる “新たな社会・経済システムのたまご”としての可能性が期待できます。

さいごに

以上で考察してきたように、地域フリーランスエコノミーは相互扶助コミュニティ復興の有力手段になる可能性があります。地方創生やスマートシティに取り組む自治体・企業にとってこの仕組みが地域課題解決の糸口になり 、“新たな社会・経済システム”のトライアルとなると考えます。

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イノベーション&インキュベーション部
ディレクター
木下 祐輔

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