Z世代を読み解く(6)~うまい仕事の任せ方(2)Z世代への対応方法~

2024/04/24 大坪 翔一
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前回のコラムでは、「仕事を任せる」とはどういった行動を取ることなのかを定義した上で、仕事を任せる立場の方々が押さえたい3つのポイントを解説しました。本コラムでは、特にZ世代に仕事を任せる際の要諦を3つお伝えします。

Z世代とは1990年代中盤から2010年代序盤に生まれた世代を指します。2024年時点では、およそ13~28歳の年齢にあたり、まさに今、そして今後数年にわたって新卒で採用する対象者はZ世代となります。新卒採用を実施している企業の皆さまは、自社の新卒入社者を念頭に置きながらご一読ください。

Z世代へのうまい仕事の任せ方① 任せた内容を相手に説明してもらう

仕事を任せる際、その仕事内容を伝えた後、相手が理解したかどうかを確認することが重要です。この時、どのように相手の理解度を確認するとよいでしょうか。
「説明した内容は分かりましたか?」というストレートな質問では、相手の真の理解度を測ることは難しいです。この質問を受けた新入社員の多くは、理解が十分でなくても「…はい、分かりました…」と答えてしまうかもしれません。この傾向はZ世代において顕著であることが推測できます。なぜなら、

「Z世代を読み解く(3)~若手のモチベーションを高めるコミュニケーション(1)~」で解説した通り、SNS文化の中で育ったZ世代は「空気を読む力」にたけており、自分の発言がたたかれることを恐れ、下手な自己主張を避け無難な回答をしがちだからです。
相手の理解度を正しく把握するためには、問いかけの工夫が必要です。「分かりましたか?」というようなYes/Noで答えられる質問は「クローズド・クエスチョン」と呼ばれる一方、Yes/Noでは答えられず、自分の言葉で回答する必要がある質問は「オープン・クエスチョン」といわれます。相手の理解度を把握するためには、この「オープン・クエスチョン」を活用することがよいでしょう。「私の説明で重要だと思ったポイントを教えてもらえますか?」「まず何から取り組もうと思っているか話してみてくれますか?」といった形で問いかけ、相手に説明をしてもらうことが有効です。

Z世代へのうまい仕事の任せ方② 情報を出し惜しみしない

コラム「Z世代を読み解く(3)~若手のモチベーションを高めるコミュニケーション(1)~」でも解説した通り、Z世代はデジタルネイティブな世代でもあり、「タイムパフォーマンス重視」の価値観を持っています。そのため、もしうまくいく仕事の進め方や役立つ情報があればそれを把握した上で、効率よく仕事を進めたいと考えています。そのため、仕事を任せる立場の方々は、持っている情報を出し惜しみせず相手に渡してから、一定の自由を与えることが重要です。つまり、仕事を任せる際には、
①その仕事の意味・ゴール
②これまでのやり方
③既に分かっている周辺情報
の3つを確実に伝え、その仕事のゴールに至るプロセスに関する部分に「自由」の余地を与えられるとよいでしょう。

Z世代へのうまい仕事の任せ方③ 報連相を受けたら丁寧に承認する

仕事を任せたら進捗を見守り続けるのが、任せた者の責務であることは前回お伝えしました。任せた仕事の「報連相」を受ける際には、こまめな承認が重要です。
SNS上での「いいね」という承認に慣れているZ世代は、「いいね」が返ってこないと不安を感じます。そのため、相手が任せた仕事について「報連相」を実行したら、それが良い報告か悪い報告かに関わらず、まずは「報告してくれてありがとう」などと、言葉でその行動自体を承認しましょう。承認は、成果を褒める「成果承認」だけでは不十分です。特にZ世代に対しては、相手の行動やそのプロセスに対しても丁寧に承認を実践し、「あなたの行動をちゃんと見て、認めていますよ」というメッセージを繰り返し伝えることが重要になります。こうした細やかな承認の積み重ねの結果、相手との心理的に安全な関係が構築できるのです。

まとめ

前回と今回のコラムでは「うまい仕事の任せ方」に焦点を当て、そのポイントを解説しました。仕事を任せるということは、決して簡単なことではなく、試行錯誤を続ける必要があります。
そして最後に強調したいのは、仕事を任せるということは、相手の成長だけではなく、任せる側にとっても貴重な成長の機会になることです。任せるプロセスを通して観察力や対人関係力を向上させ、さらに任せた結果として自身に空いた時間ができると、より高いレベルの仕事に取り組むことができます。また、Z世代に対して仕事を任せることは、自分たちとは異なる多様な価値観に触れるきっかけにもなります。
仕事を任せることを「時間もかかるし面倒だ」とネガティブに捉えるのではなく、仕事を任せる側と任せられる側の両者の成長、ひいては職場の成長の機会と捉えることが重要です。

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